蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

鉄道模型の動力伝達に使われている六角形ジョイントについての素朴な疑問の話です

ひさしぶりに自作の下廻り動力をつくってみたいかなと思ってNゲージ動力台車を物色したら、いつのまにかプロペラシャフト(パーツ名:中間ジョイント)のヘッド(ロッドエンド)の形が変わっているのに驚きました。

(以下画像出典:鉄道模型ホビーセンターカトーオンラインショップ)

台車側はこれまでと同じ十字形ヘッドですがモーター側は六角形をしています。

(注:シュレマル工房が知らなかっただけで、じつは20年前からKATOのフライホイール搭載機にはこの六角形ジョイントが使われてきたという情報をいただきました。)

少し前にHOスケール以上の鉄道模型工作派モデラーの間で六角ナットを利用した六角ジョイント(カップリング)が評判になっていたようですが、それと何か関係があるのでしょうか?

(注:一般的には軸継手のうち、偏心吸収性を主目的としたものをカップリング、強偏角や軸方向変位に対応したものをジョイントと呼びます。参考:カップリング/軸継手とは? 株式会社マイティ

よく見るとNゲージの六角形ヘッドは正六角形ではなくて各辺が窪んだ六芒星形と言っても良い感じです。十字形ヘッドの4本の腕を6本に増やすのにこの形状を採用したようにも思えますがもうひとつよくわかりません。

そこで蕗狩軽便図画工作部シュレマル工房の頭に六角形ジョイントについて素朴な疑問が浮かびました。

正六角形の六角形ジョイントの構造は、ヘッドとカップ接触して力を伝える面が傾斜しているため、軸が回転する力を伝達する以外の方向にも力が働きます。こんな構造で良いのだろうかということです。

普通、カルダンジョイント(十字形スパイダーのユニバーサルジョイント)も簡易型のT字形または十字形ヘッド付きロッド&カップ式ジョイントも等速ジョイントもオルダムカップリングもジョーフレックス(スターフレックス)カップリングもすべて、ヘッドorスパイダーとカップorヨークは、力がかかる方向とほぼ垂直な面または点で接するか、ピンを介して軸が回転する力を伝えます。それ以外の方向に大きな力がかかることはありません。

しかし六角形ジョイントは傾斜した面で力を受けるので、面に垂直な方向(カップを押し広げる方向)にも力がかかります。

また大きな作動角(偏角)に対応するジョイントとしての機能を期待する場合、特に六角ナットのように六角柱状のヘッドでは、構造上かなり大きなガタ(隙間)を許さないと機能しないのでカップ内でヘッドが暴れ、接触面を滑る方向に常に断続的な衝撃を伴う力がかかり続けることになると思われます。

作動角や回転速度、それからパーツそのものや取り付けの精度にもよるでしょうが振動も出そうです。樹脂製パーツの損耗や変形も無視できなさそうな気がします。

もちろん上に述べたことはそれ相当に大きな力を伝達する用途に使用した場合を想定してのことで、玩具レベルではあまり気にしないで良い事かもしれません。

しかし、こういう構造は動力伝達機構の設計としてはあまりよろしくないように思います。どうなのでしょうか。機械工学を正式に学んだことのない蕗狩軽便図画工作部シュレマル工房にはよくわかりません。

Nゲージの六芒星形ヘッドは、効果の程はわかりませんが、ヘッドとカップを点で接触する構造にして上のような問題を軽減しているようにも思えます。

どちらにしろ鉄道模型に使われるジョイントは精密機械や大きな力がかかる実用機械に求められるような精度、耐久性を要求されるものではありませんし、この構造で問題はないということで大手鉄道模型メーカー(KATO)の機能パーツとして採用されているのでしょう。

なので素人がどうこういう筋合いはないのですが、純粋、素朴な疑問として、六角形ジョイントの機能構造的問題を考えてみたというお話でした。

追記;

シェイギヤードロコの駆動軸に使われている伸縮ジョイントの断面は正方形です。これも回転を伝える以外の方向に力が働きますが、六角形の方がもっとその力が大きくなるので変形や摩耗は大きくなりそうです。

追記その2;

画像引用したNゲージ動力台車を良く見直すと、十字形ジョイントの位置が台車回転軸上にあります。ということは、動力軸の作動角(偏角)が大きくなるのは台車側だけで、モーター側のジョイントはカップリングのように偏心吸収が主目的になるので大きなガタは無くて良いことになります。つまり六角形ジョイントでも本文に記したようなヘッドの暴れなどに伴う問題は少ないだろうと思われます。が、しかし、偏心吸収はジョイント2個で初めて可能になるので、モーター側の六角形ジョイントだけではカップリングの機能もないわけですし、十字形ジョイントでも良かっただろうにわざわざ六角形ジョイントを新たに採用したのか、さらに良くわからなくなりました。

追記その3;

六角ナットやボルト頭、キャップスクリュー、アーレンキーも六角形ですが、締め付けに大きな力がかかることを前提として採用され使われている形状です。このことから六角形ジョイントで想定したような問題は起きないという考え方もありそうですが、これについてはボルト頭としての一時的な負荷と継手のように長時間継続的な負荷では、機械工学的、材料力学的な考え方が違うのではないかと想像します。既製実用製品のカップリングやジョイントに六角形の製品が見当たらないのもその辺りにありそうな気がします。知らんけど。

蛇足;

実際に工作ができなくてさらにやる気も出てこない状況で、あーでもこーでもどーでもなんでもないようなことを頭の中でおねおねうだうだゴチョゴチョてきとーいーかげんに考えを巡らせて書き散らすのもまあ良い気晴らし&ボケ防止をかねた文章作成修練になるかもということでの今日の日記です^^;

追記その4;

これまでに書いたユニバーサルジョイント関係の記事です。読み返してみたらそれなりに面白かったのでリンクを貼っておきます。

sktrokaru.hatenablog.com

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