蕗狩軽便 図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

またまたユニバーサルジョイントのこと(疑似的な等速ジョイント?のこと訂正)と学ぶ機会のこと

ちょっと前の記事やコメントで、KATO製Nゲージに使われているプロペラシャフト(ドライブシャフト、パーツ名:中間ジョイント)両端に固定された中子が十文字型の簡易型ユニバーサルジョイントは、疑似的な等速ジョイントみたいな役割を期待しているのではないかと思う、というように書いたことについて、記事を読まれたお詳しい方から、「それは間違っているぞ!早くさっさと謝ってしまえ、記事を読まれた方々に謝ってしまえ!」というプライベートコメントをいただきました。

指摘いただいた内容を自分なりにわかりやすく整理すると、

等速ジョイントは常に入出力軸の交点を中心としてジョイントの偏位角(=作動角;入出力軸のなす角度)の等分割角に平行な直線に垂直な平面(回転伝達面)上において等速回転する(←本文末参考資料画像参照)。しかし溝を切ったカップと中子ヘッド付きプロペラシャフトで構成された簡易型ユニバーサルジョイントの場合、固定された中子ヘッドのピンが十文字であろうと6角であろうとピン(スパイダー)の回転面はジョイントシャフトの軸に垂直な平面上にあるので、回転伝達面上への投影は楕円となり等速回転しない。

ということです。

うーん、そうか、そうですね!

疑似的な等速ジョイント、と書いたときに心のどこかでそんなはずないよなあ、なんかスッキリせんなあとか思いながら、まあいいや考えるの面倒いし、などと思っててきとーにいいかげんな想像で書いちゃったヘタレのツケがもろに来てしまいました。

しかしこれでスッキリしました。ご指摘いただいた方には感謝の限りです。

こういうことがあるとブログで個人的覚え書きを厚顔無恥に公開していてよかったなあ、と心底思います。どんなことでもたった一人での学習や思考には限界も間違いもたくさん出てきます。そしてその限界を超えて進むこと、間違いに気づくことはとんでもなく難しいことです。

こういう学びの機会をもらえるのはSNSやブログをやっていても雑誌に投稿して記事が掲載されても滅多にあることではありません。今回のことは、もうほんとに嬉しい限りの経験でした。

しかしまあ、ほとんど見る人もない何処の馬の骨ともわからない様な個人の覚え書き的ブログでもオープンにしている限りは誰かの目に止まり、学びの機会を貰えることもあるのだなあ、とこれからもいろいろと臆面もなく?好きなように自分の日々の図画工作の記録や気づいたことなどをアップしていこうと思います。

 

追記:

しかしなんであのときああいうふうに思っちゃったのだろうか?と記憶を探ってみたら、ボールベアリングが入った等速ジョイントの図を見ながら、プロペラシャフトの先端に固定された中子のピンが太くて先端が丸かったらある程度は同じような効果があるんじゃなかろうか、などと頭の中でその丸いピンの頭ばかりをクローズアップしたいい加減なフルカラーVRシミュレーション?をしていた映像記憶が出てきました。

結局のところ通常のクロススパイダーを使うユニバーサルジョイントよりは少しはましなのでしょうが、決して「疑似等速」とは言えないレベルということになるのでしょう。

ちゃんと参考資料を読んで紙に書いて確かめればいいものを、絵を見ただけで早合点して頭の中だけの安易な都合の良い想像で突っ走って、めっちゃいい加減なヘタレです。

しかしまあ、早とちりでもなんでも、こういうふうにいい加減な想像を巡らしたり機構を考えたりするのがとても楽しいわけで、そこが真面目に実用品を考案したりするお仕事モードとは違う、趣味娯楽の図画工作おもちゃ大好き人間が味わえる楽しみの一番美味しいところなのかもと思っています。

追記その2:

で、もうちょっと考えを巡らせているうちに、もともと誤差だらけガタだらけのおもちゃレベルの伝導機構でしかも大抵はこのユニバーサルジョイントの先に2桁台の減速ギヤが有るわけで、しかも実質的にジョイント作動角がそんなに極端になることがないのならこの不等速の影響ってどこまで気にする必要があるのだろう、とこの機構自体の仕組みや性質を知る面白さ楽しさとはまた別に、疑問を感じて真剣に悩む自分自身を眺めながらチェシャ猫笑いしている蕗狩軽便図画工作部シュレマル工房が、ふと気づくとそこにいるのでありました。

追記その3 (2021.9.24) ;

その後ふと、KATO製Nゲージに使われているプロペラシャフト両端に固定された中子が十文字型の簡易型ユニバーサルジョイントのことを思い出して、よーく考えるとアレって結局通常のユニバーサルジョイントのクロススパイダーが90度ずれて2重になっているわけで、つまりプロペラシャフトの両端でどうやったって(たとえシャフトに四角柱テレスコピックが組み込まれていてそれがどんな方向で差し込まれた場合でも)位相のずれが起こらない構造なのだと気が付きました。気がつくの遅いって!

自分のアホさ加減に呆れてしまいますが、結局カルダンジョイントのいちばんの問題である位相の間違いが起こらないようにするにはどうすれば良いかというエレメンタリー(ホームズかよ!)な課題をすっ飛ばして不等速な伝達の解消という方に意識を向けちゃったのが、「擬似等速ジョイント」などという変な言い方を発明?する原因というか敗因だったわけですね。

今回は本当に色々勉強になりました。まあ、あんまり頭の良くない機械工学に疎いアマチュアがユニバーサルジョイントの仕組み理解の為に七転八倒道草し放題欣喜雀躍抱腹絶倒の推理探索劇を楽しんでいたということでご容赦ください。

 

追記その4;

最後にもの凄く重要なことをひとつ。

カルダンドライブで入出力が等速になるのはカルダンドライブを構成する2つのユニバーサルジョイントの作動角が同じである場合です。

車体に固定したモーターからボギー台車に動力を伝える場合は当然、モーター軸とプロペラシャフトがなす作動角とドライブシャフトとボギー台車の動力軸がなす作動角は同じにはなりません。各種ギヤードロコなどでも同じですね。

ということは、上記のような条件での使用ではジョイントの位相がどうのこうのといくら騒いだところで、結局のところもともと根本的に等速運動なんか期待出来ない(設計上期待していない)、という結論になるんじゃないだろうかと気づいて今更ながら唖然としているのですが、一体全体何がどうしてあんなに盛り上がってしまったのだろうと不思議に思っているところです。

 

参考記事:(過去記事ですでにリンクを貼ってあったものと同じ記事です。)

ここにベアリングが使われています。(ベアリング編集小委員会)自動車用等速ジョイントについて

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