蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

半世紀前のHO鉄道模型パワーパック(コントローラー)です

実家に帰省したおり、開かずの物置を少し開いたらいきなり土ぼこりが厚くつもった新聞紙が崩れてもうもうとほこりが舞い立ち、その下から現れた菓子箱をおそるおそる取り上げて開いてみると……

がらくたに混じって子どもの頃にB型タンク機関車と一緒に母方の祖母に買ってもらったと記憶しているカツミ模型店製のパワーパックが出てきました。

コードのプラスチック被覆などは経年変化で焼けて茶色くなっていますが、デザイン的にもすっきりして美しいですし塗装は少しくすんでいますが剥がれや劣化も無く綺麗なものです。梨地肌の塗装は今見ても高級感があってこれには驚かされました。

50年以上前の製品ですがたいしたものです。

レオスタットはボリウムではなくてノッチ式。トランスから引き出した各ボルテージのタップを直接ノッチにつなげ、スライダー式接点が付いたノブを回して選択する構造です。

不思議なのは表示板のOUTPUTのVもAも、NO.(シリアルナンバー)もまったく空欄になっている事。これはインクで書いてあったのでしょうか?この時代の製品なら刻印が打たれているのが普通だと思うのですが……謎です。

電源を入れるとかなり大きな音でブーンとうなってなんだかとてもレトロクラシックな時代がかった電気機械っぽい迫力があります。テスターで電圧を確かめると1.5V刻みで最大電圧8Vでした。

真ん中のノッチの出力がなかったのでケースを開けてみたらごらんのとおり、ゆったりとした空間に贅沢に配置されたトランスとセレン整流器、そしてパイロットランプの豆電球がお出まし。集積回路がぎっしりと詰め込まれた現在の電子機器とは隔世の感があります。

最近のモデラーはセレン整流器なんて知らないでしょう。

配線をたしかめると案の定トランスからの引き出されたタップコードのハンダが外れていました。ノッチ部品の質量がかなりあるので30Wのハンダゴテでは少々手こずりましたがなんとか修復。これで一応使えるようになりました。

こういうものが出てくると買ってくれた祖母の思い出なども一気によみがえり、なつかしくうれしい気持ちになりますが今では実用品としてはとてもとても。

でもアンティーク?的な意味合いはあると思いますしパワーソースとしてはまだ充分に役に立つので軽々しく処分ができないのがこの手の品物です。