蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

ロバート・E・ヤング「特別急行が遅れた日」を読みました

アメリカのSF作家、ロバート・E・ヤングの短編「特別急行が遅れた日」です。

ロバート・E・ヤングといえば、「ジョナサンと宇宙鯨」で古くからのSFファンには良く知られた作家です。1950〜80年代のパルプマガジンで活躍し200編以上の作品を残しています。

タイトルの通り、ある鉄道の特急列車クルーの一日を描写した作品です。記事に取り上げた理由はそれだけではありません。もちろん作中にでてくる「みんな線路と結婚しているのだ」という表現や、排障器(カウ・キャッチャー)が本当に文字通りの役目を果す描写なども魅力の一つですが、本当の理由は読んでのお楽しみ。ここで明かしてしまっては楽しみが半減してしまいます。

ただ、作者は実際に鉄道好きで模型もそれなりに楽しんでいたのではなかろうかと想像できる、とだけ。

翻訳者は「ジョナサンと宇宙鯨」と同じく伊東典夫氏です。この短編の中で「構橋」という、おそらくは彼独自の造語を「ティンバー・トレッスル」の訳語としてあてているのが興味深かいです。

この作品が収められている短編集のタイトルとなっている「たんぽぽ娘」はロバート・E・ヤングの代表作とも目される作品で、SFファンならずとも好感をもって受け入れられる読後感さわやかな作品です。他にもSFというよりは良質のファンタジーロマンスといったほうがよいようなしゃれた作風の、読みやすい好ましい作品がたくさん収録されています。

もちろんこのブログを見ている同好の趣味の方々には「特別急行が遅れた日」は絶対に気に入られるとます。