蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

アニメ映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」観てきました

すごくよかったです。

イオンシネマに事前知識ゼロで見に行きましたが、ものすごくよかったです。

下は帰りにお持ち帰りしたポップコーン。鑑賞後のチケットを見せると300円になります。

この作品が「墓場の鬼太郎」の第一話と繋がっていく話であることが、エンドロールのラフ画風スライドショー?でわかります。ちょっとだけ水木の設定、立ち位置などが違います。でもぜんぜん違和感なくちょっとだけオリジナルとは違うかもしれないストーリーが自然に展開していくようなエンディングです。

検索すればきっと詳しい解説や感想や評論?がいっぱいあるはずなので、正統派のコメントはそちらにお任せして、蕗狩軽便図画模型工作部シュレマル工房がちょっと驚いたり、ほおと思ったところをいくつか。

ひとつ目は、湖岸に立つ塔のような洋館の屋上テラスでのシーンですが、てっきり総石造りの洋館だと思っていたのに、ゲゲ郎が敵(陰陽師裏鬼道衆?)と戦闘中に得物としてテラスの手すりを折り取った時に木造だとわかったこと。

昔の洋館で一見総石造りのように見えても実は木造漆喰塗仕上げだったという建造物がけっこうあるというのを思い出しました。時代設定が昭和31年ということなので、この村の特殊性を強調する演出だったのでしょうか。

追記:実は帰宅してから、ネットで映画の評判や感想、評論分析のページを斜め読みした家内がもう一回見たいと言い出して、なんと2日連続で映画館に行ってきました。見終わって、家内が今まで見た映画でいちばんだと、昨日にも増して興奮しています。女性に評判が良いというのも本当で、2日とも客の8割以上が女性。それも若い女性が多くて、今日は前の席の女性なんか見終わって感動して?泣いていたのには驚きました。

それはともかく、注意して再鑑賞した結果、建物自体は石造りなことが判明。手すりと椅子、テーブルは白く塗られているけれど、わざわざ木目を描きこんで木製であることを強調しているのに気づきました。でもよく考えたら白塗装仕上げだったら木目なんか見えない、というより木目が見えるような仕上げなどNGですから、これは折り取ることが不自然に見えないようにという配慮の描き込みでしょう。表現に悩んだだろうなと思います。

2つ目は、龍賀家の者が殺される時に必ず目玉が転げが落ちる?こと。これはやっぱり鬼太郎の父が目玉になって再生するエピソードへのオマージュなのでしょうか。ひょっとして目玉になって再生した龍賀家一族の続編的ストーリーの展開とかあったりして……

それと目玉を失うのは全て左目、水木の目の傷も左です。なにか意味を与えているのでしょうか。龍賀家当主の目が真っ黒な穴だったのが左目、それから両目が順に描かれ、最後に狂骨に喰われて2つの目玉が閉じ込められた糞玉?になってしまうのも意味深です。

3つ目は、赤いワンピースでそうだとわかった猫娘。なんかめちゃくちゃ今キャラ風でミニスカートにハイヒールを履いているのにびっくり。どういう設定?鬼太郎との関係?になってるのでしょう。アニメのゲゲゲの鬼太郎は初期の頃以外知らないのでよくわかりませんが、なんかスゴいことになっていそうな気がします。

あと、ネズミ男でしょうか、あの登場人物は。言動からして妖怪なのは間違いなさそうですが、年齢が合うような合わないような……そもそも妖怪に年齢があるのかないのか……

もうひとつ、思い返していちばん良かったなと思うのは、緊急を要する緊迫の場面で唐突に周囲の時間が停止して、じっと見つめ合い愛の言葉を交わす熱烈なキスシーンが始まったり最後の別れを言葉を尽くし抱き合って惜しむシーンや君が先に行け!的譲り合いシーンとかがヒーローヒロインの表情大写しで延々と続く演出がなかったこと。

一つだけ、最後に狂骨が鬼太郎に襲いかかる場面で、妻のお腹の赤ん坊の鳴き声で祖先からの霊毛が集まり光の球となる経過を描写するシーンで時間が停止?遅延?していましたが、あれは物理的に時間を取る会話や行動の描写ではないのでそんなに不自然でなく感じました。

もちろんお約束の人間ドラマもしっかり見せ所?になっていますが、よくある個人的欲望と感情ドロドロ人間関係ドラマメインじゃなくて、凶悪残酷血みどろグロシーン満載ですけれど、悪の親玉の龍賀家当主を除いてはみんな善悪倫理は別にしてほぼそれなりに自分が生き延びる為?の行動として描かれているし、ねちっこい展開や描写がなく割とあっさり短いめなのが蕗狩軽便図画模型工作部シュレマル工房には良かったです。

その他、水木の異常なメンタルの強さとタフさ加減にはちょっと呆れました。でもまあ、ありがちとは言えストーリー展開上必要不可欠なキャラ設定だったと納得しておくことにします。

山や田んぼの緑の風景作画はとても美しく、土の地面や道の描写も巧みなのが印象的でした。ほとんど誰も気にしないと思うようなトンビの羽裏の白い筋が正確に描かれていたのにもちょっとびっくりしたり。

生血を吸って悍ましくも見事に美しく満開に咲く桜の大木の描写は、桜の樹の下には屍体したいが埋まっている、という有名なフレーズを連想させます。他にも観る人によってそういう連想を惹起するアイテムやシーンがいろいろと散りばめられているのかもしれません。

とにかくとても観ごたえのある良いアニメでした。もう一回観に行っても良いかも、と家内と話しています。