蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

吸湿して劣化したPLAフィラメント(FDM方式3Dプリンター用)を布団乾燥機で乾燥復活しました

新しいPLAフィラメントを開封して使い始めたら、どうも造形がうまくいきません。

糸引きが酷いし最初の定着も荒れ気味だし造形の乱れも大きいし、プリント中にフィラメントが折れて切れてしまうのには困りました。

昔の3Dプリンターなので、フィラメント切れ検知や継続の機能はありません。最初からプリントし直しになります。大きな品物のプリントの最後のほうになってフィラメントが折れたら目も当てられません。

プリント不良の原因、折れる原因は、十中八九フィラメントが吸湿して劣化しているせいでしょう。未開封新品だったのに。工場での梱包出荷前の管理が悪かったのかもしれません。ハズレを引いてしまったようです。

もちろんフィラメントはシリカゲル(吸湿剤)を入れたドライボックスに入れ、湿度10%以下にキープして使用しています。しかし一旦吸湿し加水分解して劣化したフィラメントは、単に湿度を下げるだけでは簡単には乾燥、復活してくれないのだそうです。

でも、温風乾燥すれば吸水劣化したフィラメントを復活再生できると聞いて、やってみました。

用意するのはてきとーな段ボール箱と布団乾燥機と角材端材。段ボール箱の対角面にてきとーに穴をあけ、底に近い方の穴に布団乾燥機のホースをてきとーに突っ込みます。

箱の中に端材をスペーサーにしてフィラメントリールを置き、蓋を閉じて布団乾燥機をON。しばらくしてから念のため箱の中の温度を測ったら、60℃を少し超えるくらいでした。ダニの駆除には60℃以上の温度が必要なので布団乾燥機としては適切な設定温度です。

しかし一般的なPLAのガラス転移温度(柔らかくなる温度)は約55℃なので、ちょっと高そうで心配ですがまあ大丈夫でしょう、知らんけど。

2時間半のタイマーを掛けて放置プレイです。

箱から取り出したリールはアッツアツです。一緒に入れていた折れた短いフィラメントは柔らかくグニャグニャになっていましたが、手で綺麗に伸ばすことができました。リールのフィラメントは、なんかちょっと表面にツヤというかテリが出ているようにも見えますが、一応くっついたりはしていないようなので大丈夫でしょう。知らんけど。

熱いリールをそのままドライボックスに入れるのはどうかと、段ボール箱の中で粗熱が取れるまで放置しました。この間にまた吸湿しなければ良いのですが、まあ大丈夫でしょう。知らんけど。

元通りにドライボックスに収納してフィラメントをエクストルーダーに装着充填し、テストプリントしてみます。

糸引きは完全には解消されませんでしたが随分と良くなりました。でもこれはプリントアウトする品物の形状にもよるのでなんとも言えないところがあります。その他の問題は機械のクセや設定の影響もあるので、これも完全とは言えませんがほぼ改善されたように思います。

ただ、リールの中の方でフィラメントがくっついたりしていなければ良いのですが。まあ大丈夫でしょう。知らんけど。

ということで、段ボール箱&布団乾燥機による吸湿劣化フィラメント乾燥復活は一応成功かなというところです。

追記;

やはりフィラメントがお互いに弱くですが粘り付いていたようです。ちょっと大きめの品物をプリントアウトしていたら、フィラメントの巻き重なりが出来ていた箇所で綺麗に捌けず絡まって、見事にプリントアウト失敗となりました。

とりあえずリールに物理的にショックを与えてできる限りフィラメント同士の付着を解除したつもりですが、さてどうなるか。

次回布団乾燥機を使う場合は工夫して、50℃以下で行うようにしようと思います。