蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

とうとうクスリに手を出してしまいました。(オキシドールはアオミドロを退治できるか?と言うお話です)

裏庭ビオトープ池にアオミドロが大繁殖しています。毎日手で除去しているのですが追いつきません。

特にヒメスイレンに絡まったアオミドロがひどく、毎日取っても取っても次の日にはそれ以上に繁茂します。取る時に引っ張って葉と茎を傷めてしまうのでだんだんと黄色く枯れる葉も目立ってきています。

なので枯れる可能性を覚悟の上でクスリに頼ってみることにしました。アオミドロ含め藻やコケなどの枯殺に効果があると言うオキシドールを使います。

オキシドール日本薬局方 医薬品名)は、2.5~3.5%の過酸化水素で、医療用消毒薬です。細菌やウイルスを数十分以内に、芽胞でも数時間で殺すことができます。オキシドール中の過酸化水素から生じるヒドロキシラジカル(活性酸素)により細胞膜、DNAなどが損傷を受けることが作用機序と考えられています。

多細胞生物は触れた面の細胞が傷つく程度ですが藻類などは表層の細胞が損傷すると死んでしまうので、アオミドロ藻体は多数の細胞が単列につながって糸状に延びるを枯死させることができるそうです。

過酸化水素は水素と酸素からできているため分解されると無害な酸素と水になります。また酸素呼吸生物の体内では呼吸の副産物として過酸化水素活性酸素)が発生しますが酵素(カタラーゼ)によって分解し無害化します。

だからメダカやミナミヌマエビにはほぼ影響ないとはいえ、多量に使用したら害があるでしょうし確実に影響があると思われるプランクトンや微生物、バクテリアまで死滅してしまうと困ります。なのでスイレンをタライに移してオキシドールを入れてみることにしました。

入れるオキシドールの量は、ネットの記事を参考に1リットル当たり約0.75mlとし10mlほど振り入れたのですが、ふと瓶のラベルを見たら……使用期限 2011.10って?

瓶の底に20mlくらいしか残っていない10年以上前の使いかけのオキシドールなんてほとんど効力ないんじゃなかろうか、と……面倒なので残り全部注ぎ入れました。

しばらくしたら細かい泡がほやほやと浮いてきて、これはカタラーゼで過酸化水素が分解されて酸素の泡が出てきているのでしょうか。そのまま一晩置きましたが、アオミドロの色がなんとなく黄色っぽくなっただけであまり変わりはありません。きっと劣化して効力が薄くなっていたのでしょう。

新しくオキシドールを買ってきて今度は5mlほど投入。次の日の朝、水面に油膜のようなものが浮いていました。

不思議に思って調べたら、

アオミドロは接合胞子の形成にともなって,大量の淡黄色の油滴を合成・蓄積する (Fowke & Pickett-Heaps 1971,Laurin-Lemay et al. 2012)。また,藻類は光合成により固定した炭酸ガスを液状炭化水素や油脂に変換することが知られており(Huang et al. 2013),アオミドロの接合過程で蓄積される油滴も同様の分子機構がはたらいていることが示唆された。」(池谷仁里 2016. 接合藻類アオミドロの温故知新. 藻類Jpn. J. Phycol. (Sôrui) 64: 144-146)

という記述が見つかりました。アオミドロの細胞が破壊されてこの油滴が水面に広がったものだとしたらオキシドールが効いているのかもしれません。でもスイレンの葉っぱも黄色くなってきたので心配です。

ヌルヌルがなくなってきたアオミドロを歯ブラシで引っ掛けて出来るだけ取り、また少しオキシドールを入れ様子を見ることにします。

 

追記;

オキシドールと植物の関係について調べていたらこんな記事がありました。

結論から言えば、殺菌剤としての植物へのオキシドール希釈水の散布は、一過的な根圏微生物の変化は起こりうるだろうが、根圏の有効な細菌などにとって害になるという可能性は低いと考えられる、と言うことのようです。

jspp.org

これは陸上植物の根圏の話なので、スイレンには当てはまるのかどうか。スイレン、無事だと良いのですが。