蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

鉄道模型の走行音を低減する方法について

ときどき鉄道模型の走行音の低減方法についての話題を見かけるので、そのへんのことについてまとめてみました。

 

⒈ 走行音が発生する原因

・走行音の原因は、車輪タイヤの踏面、特に金属車輪のメッキ面が荒れてデコボコなため発生するのだから車輪タイヤ踏面を磨いて鏡面にすると解消する、と言うのが通説?。

・しかしレール踏面もそれなりにデコボコなので解消は難しいと思う(ジョイント音とは別の話)。

・普通に急カーブのレイアウトを走らせる場合、車輪の滑りや惰行、フランジ接触音などもあるからそう簡単に解消出来ると思えない。

・金属車輪は硬いので振動を伝えやすく音を発しやすい。プラ車輪は柔らかいので振動を伝えにくく比較的静か。

 

⒉ 走行音が大きくなる理由

・車輪の振動が他のものに伝わって共鳴しなければ音は大きくならない。オルゴールの共鳴箱と同じ。

・共鳴するものは、レール&道床、路盤、レイアウト(運転盤)台枠鏡板、ボックス状の台枠本体、それから車体。 

・それらが振動しにくければ共鳴せず音は拡大しない。

 

⒊ 走行音抑制方法

・車輪タイヤとレール踏面を磨いて鏡面にすればそもそもの最大の原因を解消できないこともないと思われるが、原因は他にも色々あるので走行音の発生を防ぐのは実質的には難しい。

・車輪の振動が伝わって共鳴するモノの振動を抑えることができれば、音は大きくならない。

・レール&道床: 振動しにくい、または吸音性のある路盤に固定する。

・路盤: 密度が高く質量が大きい素材、もしくは柔らかく吸音機能のある素材で作られているか、そういう素材と組み合わせて(貼り合わせて)使用する。

・レイアウト(運転盤)台枠鏡板: 同上。

・ボックス状の台枠本体: 台枠の中に吸音材を詰めるとかすると良い。

・補足その1:バンジョーをミュートするのに胴の中にオシメを詰めるというやり方がある。バンジョーの胴は円筒形の筒にプラスチックシートを張ったドラムのような構造。ボックス状のレイアウト台枠と同じ。

・補足その2:むかしTMSに内部に発泡スチロールを充填した箱型台枠を特注してNゲージフラットトップモジューラーレイアウトの走行音を軽減したという作者へのインタビュー記事があった。しかし発泡スチロール(スタイロフォームも同じ)にはほぼ吸音力は無く、密度が低く剛性が高いため叩くとわかるようにドラムのように音が響くのでかえって音を共鳴させる。あの記事の作者は本当は何を充填したのだろうか?

・車体:密度が高く質量が大きい素材でかつ分厚く振動しない形状の部材で構成されているのが理想。特に箱状の車体は内部空間を最小にするか吸音する構造または素材が配置されているのが良い。

ということで、フレキシブル線路のボンデッドバラスト施工も、コルク道床も、スポンジ道床も、黒くて重くて臭くて厚いゴムシート路盤も、分厚いファイバーボードや積層板切り出し路盤も、各種吸音材充填台枠も、みんな違ってみんな良いので、それぞれそれなりにそれなりの効果がある。そのはずである。

要はその効果が十分に発揮される使い方、組み合わせ方をしているかどうかにかかっているのである。

以上、知らんけど……^^;

 

追記;この記事では、具体的な工作方法や留意事項については既出のことばかりなので触れていません。それらの詳細については、高度な技術技能と知識経験と説明の才能を持つモデラーの解説指導を待ちたいと思います。