蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

ビジュアル系?図鑑のイラストがなんだか怪しそうな気がするというお話です

三省堂図解ライブラリー 19世紀の鉄道駅」という本を図書館で見つけて借りました。イラストも美しくて楽しい本だと思います。

エジプトのピラミッドとか中世の大聖堂とかギリシャの神殿とか第2次大戦の潜水艦とかそういう歴史的な建造物乗り物などを図解解説した青少年向け図鑑シリーズのひとつです。

(注:以下に示す上記書籍の画像は、この記事で参照する引用資料として掲載しています。)

しかし、よく見るとイラストに変なところがたくさんあるのが気になり、なんだか説明文まで信用しかねる気分になってしまいました。

参考までに気になった部分の画像を上げてみます。

ポイントのイラストですが、手前のポイントは左側のトングレール(先が細くなっていて動かせるレール)がなくて、スローバー?(左右のトングレールを結ぶバー。これを動かしてポイントを切り替える)が直接左側のレールに固定されているように描かれています。奥のポイントはトングレールと右側レールの間が狭すぎるように見えますが構造は一応ちゃんと描かれていてます。スローバーを結ぶリンク?は2つのポイントを同時に切り替えるためのもののようですが、なんだかよくわからない構造です。

カウキャッチャーとスノウプラウを混同しているように見えます。ポイントのノーズ周り(レールがクロスしている部分)の表現も変です。

トンネルの中での線路敷設で犬釘を打つ様子です。レールはすべてクランプ(チェア?)で固定されているのに打っているのは大きな犬釘です。それはともかくクランプもこんなふうにハンマーで釘を打って固定するのかよくわかりません。

また、左のレールは片側にしかクランプが無いし右のレールは先の方までクランプが設置されているのにこの位置で犬釘を打っているのも不思議です。

トンネル上部の換気口もこんなに浅いのなら普通は切り通しになるように思いました。

 

上は、こんなに狭い線路間隔が実際にあったのか知りたいです。

ポイントの描き方が明らかにおかしいです。これでは脱線してしまいます。

 アメリカン4−4−0ならメインロッドは第1動輪に掛かるはずなのに、ピストンから直接第2動輪に掛かっています。サイドロッドもないように見えます。

連結器のループがなんだか雄々しい状態で保持されています。この種の連結器のループは普通はスクリューがついていて折れ曲げてフックに掛けられるように保持されるものだと思っていましたが、こういう形態もあったのでしょうか。ブレーキホース?や煙室扉ハンドルも変なように思います。動輪ブレーキテコのリンクロッドが動輪の外側にありますがこう言う機関車もあったのかな?

客車の床下にあるトラスロッドを引き締めるためのターンバックルが描かれていません。他のページの絵でも同じです。それに上の方にある車両では、クインポストも描かれていませんし取り付け基部も変です。これでは床下にトラスロッドが存在する理由と構造がわかりません。

これはアメリカン4−4−0ですが、シリンダーとロッド、弁装置が不思議な構造です。こういう機関車もあったのでしょうか。

普通アメリカン4−4−0は外側シリンダで、第一動輪にメインロッドが掛かり、サイドロッドで第2動輪に動力を伝えますし、スティブンソン式弁装置は台枠内側のスリップエキセントリックで作動します。なのにこれは内側シリンダで弁装置はクランクピンにつけられたリターンクランクで作動する方式です。加減リンクらしきものも見当たりません。

反対側のページをみたら、欧州機関車のバリエーションのイラストがあって、2段目のフェアリー型機関車や一番下のイタリア鉄道テンダー機関車もロッドや弁装置も変です。

シリンダーが台枠外側に縦に2段並んでいるように見え、ピストンロッドとクロスヘッドが見当たらず、ガイドヨーク下端みたいな変なところにロッドがつながっていたりメインロッドも途中で切れているしサイドロッドも第一動輪に掛かっておらず、バルブギヤがどうなっているのかよくわかりません。

イラストを描いた画家は、資料写真などを見ながら作画しただろうと思うのですが、なぜこんな絵になったのか不思議に思います。

よく見ていけば他にもいろいろ変な描画があるかもしれません。

この本、もともとはイギリスの出版社の本で、小池茂氏(著名な鉄道史研究家)などが訳し、日本語版の解説文なども書いています。

ご覧の通り、文も画も編集顧問も錚々たるメンバーのようで、イラストを担当した人は伝統ある美術大学を出て歴史画考証を専門としていると紹介されています。

今回は偶々鉄道模型を趣味としていてある程度の知識があったので間違い?を認識できましたが、他の分野ではわからずそのまま間違った知識を得てしまうかもしれません。

同じシリーズの他のテーマの本も興味はありますが借りるかどうか迷ってしまいます。

でも絵は綺麗ですし、そのテーマについてざっとビジュアルに雰囲気だけを楽しむには良いシリーズなのかもしれません。

 

追記;

寝ている時は頸椎症性神経根症の痛み痺れはほとんどないのですが体を起こした途端にひどい痛みと痺れが襲ってきます。薬を飲んでしばらくすると多少ましになってきます。

3日ほど前から右足薬指の付け根に出来物ができ痛痒くて擦って潰してしまった途端に足が腫れて痛みがひどくなってしまいました。手持ちの抗生剤入り副腎皮質ホルモン軟膏を塗って様子を見ています。

もともとあまり品質も性能も良くないうえに耐用年数を過ぎ、あちこち故障や不具合が頻繁に起きて修理に手間と費用をかけてもまともに稼働、運用できないような身体(頭も)なんて、本来ならとうに廃棄されていてもおかしくないのだろうなと思ったりしてしまいします。

困ったものです。