蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

はんだ付けの温度と強度それから合金層成長による劣化についてと鉄道模型真鍮工作のこと

X≠Twitterの、はんだ付け職人「はんだ付けに光を!」@Goodhanda13 さんのポストを興味深く読んでいます。

 

ゴッドはんだ株式会社 はんだ付け講座は勉強になります。

電気配線、電子部品関係のはんだ付けが対象なので、板金や金属模型工作等については全て当てはまるとは思いませんが、もっと早く知っていたら、はんだ付けについての疑問のかなりの部分をずっと楽に解消できたかも知れません。

ポストを見て新たに知ったことを鉄道模型真鍮工作に当て嵌め、また新たな疑問が湧くこともしばしばです。

下のポストには、「はんだ付けは、鉛入りの共晶はんだ、鉛フリーはんだ共に、スズ(Sn)と銅(Cu)の合金層を形成することで接合され、約250℃ではんだ付けした時に最も接合強度が大きくなる」とあります。

ということは、鉄道模型真鍮工作には183℃でサッと溶け流れる共晶はんだが最高、と手放しで称賛するのはちょっとどうなのかなと……

もちろん真鍮模型工作には、さまざまな融点のはんだや低融合金などを使い分けて難しい組み合わせのパーツを順序よくはんだ付けしたりする技術もあって、使いこなしている先達も多く、単純安易に共晶はんだが最高と言われているわけではない事は承知の上ですので、念のため。

また下のポストには、「完全なはんだ付けで且つ常温の環境下でも合金層の成長は進むため、次第に接合部には原子空孔がたくさん出来、20年も経つと脆くなって外れてしまう」とありました。

ということは、真鍮はんだ付け組立の鉄道模型機関車も年月が経つとはんだ付け部分が劣化して崩れ壊れてしまう恐れが十分ある、ということでしょうか。

実用上は問題ないとも言えるのかもしれませんしその辺りはわかりませんが、本当にはんだ付け部分の劣化で壊れることがあるとして、問題はそれまでの期間がどのくらいかという事だと思います。

アンティークな装飾品や美術工芸品、実用機器などではんだ付けの劣化により崩壊したものなどはあるのでしょうか。その修復なども絵画や彫刻などと同じように行われているのでしょうか。

そういえば余談ですが、パイプオルガンには錫ペストといって吹き出物のようなものができてボロボロに崩れ落ちてしまうという現象があります。これは、低温(13℃以下)での同素変態による体積膨張が原因で発生する現象だそうで、合金層の成長によるものとは違うようです。金属の劣化原因にはいろいろあるのですね。

電子部品の関係では、無人惑星探査機ボイジャーに積まれた電子機器にハンダ付け部品があるとしたら今どんな状態なのだろうか、という疑問が湧きました。@Good handa13 さんにお聞きしたら、「宇宙では、太陽光が当たる場所と当たらない場所の温度差が激しいですから、はんだ付けには特に過酷な条件となります。設計寿命は5年だったそうですが、それなりの対策を講じてるのかな?と想像します」とのこと。

@hirose13mmさんからも、「宇宙船に載せる基板にもハンダ付けは使われていますが、地上用とは違うらしいです、材質などの詳細は知りませんが、外観上の形状から違っていて「強度重視」っぽいフィレットでした。地上では鉛無しハンダを使わされていますが、ロケット用は高信頼性の鉛入りハンダって聞いたことがあります。なので、地上の鉛無しハンダは「信頼性低い」って事なんですけどね。出始めの頃は不良率も高かったですしね。今はマシになっているはずです。」と。

蕗狩軽便図画模型工作部シュレマル工房が使っているはんだを確かめたら……

なんとまあ、NASA御用達のはんだでした。 ちょっとびっくりでした。