蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

『ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不振」の現場から』読了

読売新聞記者の三井誠氏が、トランプ大統領選挙から任期前半2年間、アメリカでの各種取材を通じて執筆したルポルタージュ、『ルポ  人は科学が苦手  アメリカ「科学不振」の現場から』読了。

ここのところの心身不調ゆえ、やる気も知的好奇心も起こらず、まともにものを考えることもできなくなって、純粋「消費型趣味」の無節操活字乱読憂さ晴らしに、ひたすらどれもこれおんなじような展開お約束パターンの「なろう」ネットラノベ?ばかり読んでいたのですが、やっとさすがになんやこれ?という感覚がちょこっとだけ浮かんできたので、ノンフィクションなど……と読んだのがこの本です。

一言で言うと、アメリカって理性より感情と信仰で科学なんか信用できね〜って人多くて結構やべぇぜ、トランプが大統領になったのもそんな背景あるからだぜ、コミュニケーション能力めっちゃ大事だぜというやつでした。

人間は、事実や知識じゃなくて感情や政治的傾向(支持政党)、信仰などによって判断する。周りにいる人達=所属するtribe(部族)の共感が大事。コミュニケーションでいちばん重要なのは理屈じゃなくて相手の共感を得ること、ということですが、これ、日本始めどこの国の人間も同じだと思います。

アメリカでは進化論を否定し全ては6千年前に神が創造したという創造論を信じる人達や地球は平面だと信じる人達が多く、その影響力が大きいという話も。ノアの方舟実物大レプリカ?博物館なんてのもあるし学校で創造論を教えてたりとか。

なかなか面白く読めました。

でもまだ長い小説やノンフィクションなどは集中力が途切れてぜんぜん読めなさそうです。認知症の前駆症状かもと思うとちょっと怖いです。

 

以下汎用性ありそうな抜書き。

アリストテレスは演説に大切なものとして三つを挙げた。一つはロゴス (Logos =論理)。論理的であり、 事実であるということだ。これはじつは3分の1でしかない。アリストテレスが次に挙げたのはエトス (Ethos =信頼)だ。聞き手と話し手の関係であり、話し手の信用の問題だ。私はこのセッションを自己紹介から始めた。議会で長く働いた経験を伝えることで、 『この人は何かを知っているのだろう。話を聞く価値はある』と思ってもらうためだ。三つ目はパトス(Pathos = 共感)だ。この三つの要素が効果的なコミュニケーションに必要だ」(米国科学振興協会(AAAS)マーク・バイヤー氏(元連邦議員スタッフ))