蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

アニメのネジ式連結器の描写と、荷掛けフックの形状のこと

X≒Twitterでこんな記事を見つけました。

 

これを見て、

実車の連結器に関する知識や見聞がなく、絵と同じ方向からだけの写真を参考にした場合、自分なりに形状(強度を含む構造では無い)を解釈しようとする頭の良い?人ほど自動補正が掛かってフック部分をこんな形に描いてしまうような気がする。横方向からの写真があれば良かったのに残念

とポスト。

横からはこんな形です。

上から見たら下側のシャックル&スクリューは見えないでしょうし、フックの形もわかりません。アニメの描写がなぜあんなふうになったのかわかる気がします。

明治村で撮った連結作業の動画はこちら。


www.youtube.com

検索していたら、作画参考にしたと思われる動画画像が出てきました。

 

参照したのがこの画像だけだとしたら、構造の知識がなければあのように作画するのも無理ないと思います。

それはさておき、気になるのは特徴的なフックの形です。下は模型パーツの例です。

ヒートンのように棒を曲げたようなものではなくて根元に行くに従って幅広い板状になっています。

連結器フックほど極端ではありませんが、玉掛けフックも同じような形です。下はその例。

フックの背の側の方が太くなっていて、なめくじが曲がったような形です。もちろんそうで無いのもありますが、それはごく軽い負荷用だと思います。

玉掛けフックについてはこのページにわかりやすい説明があります。玉掛け作業者のための安全啓発サイトのページです。こちらに掲載されている写真や図の方が形状が良くわかります。

初めて見たときはなんでこんな形してるのだろうと思いましたが、現場で実際に使っているうちに軽量用のをひん曲げたりしてなるほどこの形状はかかる力を計算してこうなっているんだな、と納得というか感心したのを覚えています。

設計以上の負荷がかかると、まずフックの背の部分の曲がりが伸びる(鋳物とかプラだと折れる?)のです。ヒートンで実験するとよくわかります。

さてここからは模型工作の話ですが、このフック、自作するのはなかなか大変です。連結器の場合は断面形状は長楕円形(玉掛けフックの場合は軽量化のためT字型になっている)なので板材で良いとしても切り抜くのが大変。

自分が作るとしたら根元はちゃんと切り抜きますがフック部分は紡錘形に切って焼き鈍しプライヤーで好みの形状に曲げながら叩いて形を整えヤスリで仕上げる、みたいなことをやるか、最初からパテで形を作って型取りするか、ということになりそうです。

そんな面倒いこと蕗狩軽便図画模型工作部シュレマル工房がするわけもなく、実際はそのへんの真鍮線をやっとこでてきとーに曲げてひっかかればそれで良い、というレベルの工作スタンスなので、ま、それでも見られるのがフリースタイルのラフな絵画的ナローモデルの良さと開き直っています。

ところで、カタログでフックの名称をみてると、キトーフック、というのが目立ちました。そういや仕事でもキトークリップというのを使っていました。

形状や構造から鬼頭クリップか亀頭クリップって符牒だと思っていたのですが、会社の名前だったのですね。探したら、キトークリップ製品紹介ページもありました。変なところで昔の疑問が解決して、ちょっといい気分です。