蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

日曜地学ハイキングで三浦半島油壺の磯浜海岸生物の観察と東京大学臨海実験所の見学をしてきました

海岸生物の観察は油壺マリンパーク跡地から降りた磯浜海岸です。

大潮の干潮時なので磯浜を歩いてタイドプールをじっくりと見ていけます。

何もいないように見える潮溜りをじっとみているとだんだんとそこここに動きが見えてさまざまな生物がいるのがわかってくるのはちょっと感動でした。

網をもっていなかったので素手でイワガニを2匹捕獲。

薄赤くて細い枝のような海藻?の塊が妙に動くのでひっくり返したらカニの背を覆うように付着しているものだったり。

観察指導や解説をしてくださったのは、おもに棘皮動物が専門の東大の研究者の方や中国からの留学生の方。

ロシアから来ている研究者サーシャさんが裸になって深い潮溜りに入り、次々と岩をひっくり返しほうりあげて観察し、体長2ミリにも満たないようなウミウシなど微小な生き物を採集しながらすごく楽しそうにさまざまな説明をしてくれるのがとても印象的でした。

捕獲したとても綺麗な小型のウミシダにも驚きました(写真を撮らせてもらうの忘れました)。知っていなければ海藻みたいなもの思って気づかなさそうでした。潮溜りで見つけられるとは知りませんでした。

ウミシダはウミユリの仲間で、幼生は軸を持っているが大きくなると岩に捕まる足(巻き枝)が出た時点で軸が取れるものもあり、この小型のウミシダはそういう種類だということでした。

いろんな変な質問にも丁寧に楽しそうに答えていただいて本当に勉強になって楽しかったです。

アオリイカの卵塊もありました。卵の中に稚魚が見えます。

参加された方たちの採集した生物です。

イソアワモチ、ヒモムシも初めて見ました。スベスベマンジュウガの甲羅も触らせて貰い丸くぬるぬるしているのでその名の意味がわかったり。

ヒトデの目は腕の先にあって、オレンジ色の点が見えます。匂いも感じるそうでそれは腕の裏側の溝にあってアミノ酸を感じるらしい。

クモヒトデは腕に脊柱のような骨が有る全く別の生き物(ヒトデの腕は骨がなく中空になっている)で、20年前に腕の先の骨にレンズ様のようなものがあるという論文がネイチャーに掲載されてクモヒトデの視覚について騒がれたけれどその後懐疑的になっているそう。

こんな話がどんどん出てきて、研究者の先生や学生さんがとにかくものすごく熱心に楽しそうに話してくれるのが印象的でした。

足元の黒い海藻はヒジキです。時期になるとヒジキを扱う漁師さんたちが収穫に来るそうです。

午後からは東京大学三崎臨海実験所を見学しました。

展示室「海のショーケース」には標本や調査観察実験の道具や資料などが綺麗に展示されて、海洋生物研究の魅力が伝わってきます。

説明してくださった技術専門学芸員の先生の説明も親しみやすくわかりやすくて、とても魅力的で勉強になる楽しい展示でした。

先生が着ていたTシャツのアリストテレスのランタン(ウニの口器)イラストはご自分でデザインしたもの。カッコいいです。

普通は一般公開していない水槽も見学させていただきました。下の海から直接ポンプで汲み上げて水槽に供給しているので海の状態そのものの海水で飼育しているのだそうです。

意外なくらいに小さなアクリルの水槽がたくさん並んで珍しい貴重な生き物が飼育されているのにも驚きました。

これはキングギドラシリスという名のゴカイの一種。カイメンの中に潜り込んでいて表面に見える白い梯子のようなものは枝分かれした尾なのだそうです。

頭が3つある怪獣をイメージして名付けられたそうで、学名はRamisyllis kingghidorahi、キングギドラの名が入っています。冗談みたいです。

標本が飾られていたミツクリザメも三崎臨海実験所の初代所長の名をとったものでMitsukurina owstoniというのだそうです。

ナヌカサメ?の卵も触らせてもらえました。

皮のようで弾力があって光に透かせると稚魚が動いているのが見えました。

エントランスにある創設当時の黒板を利用した所の歴史説明板。裏に日本軍の特殊潜航艇基地として接種されていた当時の落書きがあります。

今回もち帰ってきた採取物です。

オオヘビカイの殻、穿孔貝が孔を開けた石、フジツボの殻、それから豆のような浮き袋が付いた干からびた海藻です。

オオヘビカイは岩にくっついて成長する貝で口から紐状の粘液を出して餌をとるそうです。裏側はこんなになっています。

水中の姿は見つけられませんでしたがこれが岩にくっついているものだと思います。貝が死ぬと中にナベカという黄色い魚が住み着くそうです。

フジツボの殻がこんなに分厚くてスカスカになっているとは知りませんでした。

海藻の浮袋は押しつぶすとパチンという音がして破裂します。調べたらどうやらホンダワラという海藻の仲間のようです。不思議な器官を持っているのに驚きました。

海の磯海岸にこんなにもたくさんの種類の不思議な形をした生き物がいるなんてほんとうに知りませんでした。素晴らしい体験をさせてもらえました。地学ハイキング主催の先生方や協力参加の研究者、学生の方々には感謝いっぱいです。

今度はいつか機会をつくって孫たちと一緒にゆっくりと磯海岸のタイドプールの観察ができればと思います。

 

追記;

やっと咳が治って楽しみにしていた地学ハイキングに参加。でも2週間以上咳が続いて動けなかった影響が大きい。磯で何度も立ちくらみしかけて焦る。家に帰り着いたら文字通りダウンした。喉に痰が絡まるがひどい咳は出ないのでなんとか大丈夫そう。しかし家内はまだ咳が治らない。しばらくかかりそう。