蕗狩軽便 図画工作日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

なろう小説の世界設定テンプレのこと&素敵な純粋娯楽消費的読書のこと

#無欲の聖女は金にときめく 」読了。

とても面白かったです。魔法関係は設定上必要な最小限でRPG的要素は無く、お約束の戦闘場面も殆どないので途中で読み飛ばすこともなく楽しめました。

じつは読んでいる途中でなろうサイトのザッピング読?をしてしまい、「#メイドなら当然です」というのに行き当たって、割と短い作品だったのでそちらを先に完読してしまったのですが、けっこうお話があっさり目で、もうちょっと膨らませたりしないのかななどと思いつつ、朗らかに楽しく読めました。

これもやはり魔法というか、そういう世界であることが前提ですが、あまりそれが前には出てこないし、いかにものRPG的設定はありません。

このタイプの作品は、コアな読者以外にも受け入れらるということもあって「本好きの下剋上(ただし第2部まで)」など、一般人?からも人気の高い作品があるようです。

魔法世界設定の学園ドラマであるハリーポッター指輪物語なんか問題にならないくらい人気も知名度も高いのと同じだと思います。そのせいかどうか、なろうにも青少年向けファンタジー小説にも魔法学校の学園ドラマや人間ドラマ(ラブコメ含む)、それから王道の主人公の人間的成長や家族愛、友情などを強調した作品が目立ちます。

指輪物語の映画も原作ファンのプロモーションが功を奏して大成功しましたが、柳の下の2匹目?を狙った「ホビットの冒険」の映画はアトラクションと人間的葛藤と悲劇と感動のラブロマンス満載の見るも無残なくらい一般向けに変更脚色してふくらませた台本になっていて……以下略

あと、特になろうでは、貴族上流社会とお姫様、王子様、令嬢と才媛(もちろん全て美男美女)というのはほぼ必須アイテムのようにさえ見えるのが面白いところです。きっとそういう設定やキャラの方が先行の作品や参考資料も沢山あるし、想像も膨らませやすくて物語が作りやすいということなのだろうと思います。

つまり、なろうで無数にある、一般人からすると何が良いのか良くわからなかったり引いてしまいそうになる典型的魔法世界設定、RPG設定などの半2次創作系作品は実はコアなファン向けなろう小説の主流正統派?いうことなのかもしれません。そういう傾向は、様々な分野の趣味娯楽その他諸々の世界でもありがちのように思います。

2次創作(又は設定流用創作)では、世界設定やキャラ設定のベースとなる背景や約束事など、おそらく創作にあたって非常に重要で大変なところをまるまるスキップして物語を作ることに全力投球できます。それが、魔法世界ファンタジーRPG的設定のなろう小説があんなに無数にある理由なのだろうと思います。もちろん女性向けラブロマンスシンデレラ設定や婚約破棄から始まる貴族上流社会設定の作品もそれこそ無数にあるようです。

誤解を招かないよう記しておきますが、シュレマル工房は2次創作も大好きです。いやほんと、気に入った世界設定で気に入ったキャラを自由に思い通りに動かして物語作るのは滅茶苦茶楽しそうですもんね。もしそういう才能があったら間違いなく手を出していたと思います。

 

ところで「#無欲の聖女は金にときめく 」の作者に「#後宮も二度目なら 〜白豚妃再来伝〜 」という作品があるのを見つけて読んでみました。

これもなかなか面白くて、飽きずに楽しめましたが、世界設定が「薬屋のひとりごと」と似通っているのが気になりました。架空古代中国の後宮を舞台にしたファンタジーでキャラの設定もどことなく似ているように感じます。

初出期日を見てみると「薬屋のひとりごと」は2011年から、「後宮も二度目なら 〜白豚妃再来伝〜 」は2021年からなので、「後宮も二度目なら」は「薬屋のひとりごと」の設定を踏襲した半2次創作的な作品と言えるのかもと思いました。

さらに、ひょっとして「薬屋のひとりごと」も先行する作品の設定をつかったものなのではないだろうかと思いついて調べてみたら、「#後宮小説」というファンタジー作品に行き当たりました。

以下Wikipediaからですが、

>『後宮小説』(こうきゅうしょうせつ)は、中国風の架空の国である素乾国を舞台とした、酒見賢一ファンタジー小説。1989年の日本ファンタジーノベル大賞を受賞した。酒見のデビュー作でもある。中国哲学や中国史に依拠した独特の記述法は、『素乾書』・『乾史』・『素乾通鑑』に依拠して歴史事実を記載した小説という体裁を採用し、ファンタジーノベル大賞選考会では井上ひさしにより「シンデレラと三国志金瓶梅ラストエンペラーの魅力を併せ有す、奇想天外な小説」と高く評価された。

とありました。

あらすじ紹介の冒頭には、

>現代の暦で見れば1607年のこと、素乾国で皇帝腹宗の崩御に伴い即位する新皇帝の後宮整備が行われることになった。宮女募集が行われた緒陀県で、14歳の銀河がこれに応募し、後宮教育機関である女大学に学ぶこととなった。銀河を含む一行は都城である北師へと旅立つ。その道中で義賊である平勝と厄駘に出会うこととなり、これが後に物語の重要な伏線となる。

とあって、「即位する新皇帝の後宮整備」という物語の始まり方は「薬屋のひとりごと」とも同じですし「後宮も二度目なら」でも物語展開の重要な要素となっています。また、義賊伏線の設定は「後宮も二度目なら」と似ている気がします。

後宮小説」はまだ読んでいないのでなんともいえませんが、これが魔法世界ものRPG設定ものと同じく中華後宮ファンタジーもののテンプレ設定として利用されていて、他にも類似の設定の作品がたくさんあるのかもしれません。

そのうち「後宮小説」も入手して読んでみなければ^^;

 

追記;「本好きの下剋上(第一部)」のように異世界転生した主人公が元の世界の知識や記憶を使ってモノづくりや社会システム改善に大活躍するというのもテンプレ化しているようです。このタイプの元祖?はマークトウェインの「アーサー王宮廷のヤンキー」だと思うのですが、実際のところはどうなのでしょう。

 

それにしても、ここのところずっと純粋娯楽消費的読書?をやってます。アウトプットを意識しないインプットってこういうものなんだとすごく新鮮な気分です。

なにかしら吸収して何かの時に使えるかななどというスケベ心なしに見たり聞いたり読んだりという行動は予想外に気楽で楽しくて素敵ですが、実際にやろうとしてみて、体験してみて、それを上手にスマートに実行するにはかなりのセンスというか適性が必要な気がしました。

純粋娯楽消費から自然に蓄積していってそれを意識せずに役立てていくことができるような人ってすごいと思います。そういう人ってきっとたくさんいると思います。そういう人はきっとずっと頭も良くて性格も良くて幸せな楽しい生き方をしているのだろうとも思ってしまいました。