蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

シグナルとシグナレスの話と鉄道模型ジオラマのこと

ラジオで、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の朗読をやっていました。

昔読んだきりなので、ほう、こんなはなしだったのかとずいぶん興味深く聴きましたが、ふとおもいだしたのが「シグナルとシグナレス」です。

銀河鉄道の夜」ばかりが有名ですが、もうひとつ鉄道の情景を舞台にした作品があって、それがこの作品です。

こちらは国鉄本線の立派なシグナルとそれに平行して走る軽便鉄道の小さなシグナレスの淡い恋物語という体裁のお話です。賢治が存命中に発表された数少ない作品の一つだそうです。

当時、賢治が暮らしていた花巻の駅には東北本線と岩手軽便鉄道が乗り入れていて、その情景を見てこのお話を創作したのかもしれません。岩手軽便鉄道はその後国鉄化されて、釜石線となりました。

それにしても、本線の立派なシグナルが男性で軽便鉄道の小さなシグナルが女性という設定、これもなんかおもしろいなあと思いました。信号機だけでなく車輛もストラクチャーも軽便鉄道はやはり線が細くどこか女性的な雰囲気があるのかもしれません。

そう考えると、模型化するときに、情景のつくりなどにもかなり影響がでるかなと思います。本線物のレイアウトはどうしても力強く荒削りでも迫力のあるシーナリィが好まれ、時には組み立てレイアウト、ベニヤ平原のレイアウトでも違和感を感じないのに対し、ナローのレイアウトでは、植生もストラクチャーも繊細で趣のあるシーナリィが好まれ、シーナリィが無いとある意味興ざめの風景になってしまう傾向があるのもそういう性格があるからでしょう。

もちろん、どんな模型でも車輛だけで充分鑑賞に耐えることは耐えるのですけれど。望むらくはナローの車輛は特に、単体で飾る場合でもしっかりしたシーナリィを配したお立ち台に飾ってあげたくなります。

じつはそれが一番めんどくさかったりもするんですが