この間見学してきたKKC集会で、動輪をスリップさせるOスケール大型蒸気機関車模型のデモンストレーション展示がありました。
かなり大きな模型で、テンダー車輪の回転にフライホイールを利用してイナーシャをかけ擬似的に大質量の重々しい動きをシミュレートしているとのことで、そのアイデアと技術には感心しました。
ただ、その動きをしばらく見ているうちに違和感を感じました。
機械機構によって慣性をシミュレートするアイデアは素晴らしいですし、実際に動輪を自由自在にスリップさせているのには驚かされます。それを模型で実際にやってしまうというのはすごいです。
でも眺めていると、映画フィルム(記憶にあるのは「大列車作戦」や「オリエント急行殺人事件」)や動画で見たことのある本物の蒸気機関車の動輪のスリップの動きとはなにか違う。
実物は、機関車が動き出し動輪がゆっくり回り始めてある瞬間にカタストロフ的(不連続的)に動輪がスリップし、激しい勢いで回転してブラスト音が高く立て続けに響き、数回転のうちにそのブラスト音が低くなると同時にガッという感じで動輪がレールを噛み、とたんに動輪が機関車の速度にシンクロナイズして安定したブラスト音とともに回り出します。
しかしその模型は動輪の回転がそんなにカタストロフ的に急激に変化するのではなく、どこかぬるぬると連続して変化するように見えるのが違和感の理由かと思いました。
例えが良くないかもしれませんが、CGアニメのぬるぬるした気持ち悪い動き(注:最近のディズニーアニメなどモーションキャプチャを活用したアニメには当てはまりません。初期のCGアニメやゲームソフトの映像によく見られる動きです)に感じる感覚です。
さらにスリップが止まった後や減速時にも動輪の回転が機関車の速度と同期していない瞬間があるようにも見えます。
これは自分がそう思っているだけで、実際は実物通りの動きをしているのかもしれません。
なにせいい加減、感性も観察力も鈍り気味の、すでに物理的には後期高齢者レベルのぼけ老人なので自分の勘違いなのかどうか実際のところはよくわかりません。
実際に動きが違うのだとしたら、動力源が実物が蒸気ピストンであるのに対し模型は電動モーターであるという違いのせいでしょうか。電気モーターの場合も負荷が軽くなると回転数は上がりますが、その特性が違うのかもしれません。
ひょっとするとデモンストレーションの動輪のスリップはコントローラーのスロットル操作で作為的にコントロールしている部分が大きいのかもしれません。実物でも同様の操作はあるだろうと思いますが動力の特性が違うのだとしたら、実物の動きを完全にシミュレートするのは難しいのかもしれないなと思いました。
(追記;大型模型に使うような大きくて強力なモーターの場合、コアレスでなければ回転子の質量はかなりのものでしょうからそのフライホイール効果がスリップする瞬間の動作に影響するのかもと思いあたりました。どうなのでしょう?)
ところで、こういう事を言うと不謹慎だと顰蹙をかうかもしれませんが、自由自在に動輪を盛大にスリップさせながら機関車を走らせるのって、ラジコンドリフトカーをぶっ飛ばしているみたいな迫力と爽快感というかカッコよさ?があって、まあ、お上品とは言いかねますが、細かい事などそっちのけで見ていて楽しくなります。スピード競技と同じような面白さがあるのかもしれません。鉄道模型でのそう言う遊び方楽しみ方がもっとあってもいいように思います。
参考まで、youtubeにあった実物の蒸気機関車の動輪スリップ動画とOスケール模型の動輪スリップデモンストレーション動画を貼っておきます。
動輪をスリップさせるOスケール大型蒸気機関車模型