蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

「ありがた山」に行って来ました

稲城市南山地区にある「ありがた山」の風景です。

f:id:sktrokaru:20201117114150j:plain

f:id:sktrokaru:20201117114249j:plain

ご近所にあったというのに15年以上も知らないままでしたが、南山地区大規模開発でなくなるかもしれないと聞いて初めて訪れ、並んだたくさんの無縁仏の墓石や石仏の表情に感動。

その日は、「ありがた山」を守っておられる日徳海の方が参拝と清掃管理などのお世話に来られていて、いろんなお話を聞くことができたのはラッキーでした。

関東大震災の後に、白雲山・日徳海という宗教団体の人々が、当時の妙覚寺住職の好意で寺の上の山林に豊島区駒込のあたりに放置されていた無縁仏、石仏、石像を集めて運び上げ、供養したというのが「ありがた山」の始まりだということです。「ありがた山」については、検索すると情報や綺麗な画像がたくさんでてきます。

ただ、斜面の頂上にいくと、宝塔が並び、護摩壇の薪組があるすぐ後ろに鉄パイプの柵が廻らされ、本当に敷地斜面の後ろすぐ裏まで崖の様に切り崩されていて、工事の方が頻繁に行き来しています。

f:id:sktrokaru:20201117114602j:plain

f:id:sktrokaru:20201117114513j:plain

切り崩された法面の途中、元の境界線だったと思われるところに結界標のように石柱が立ち並んでいます。お話では三十三箇所のように回って祈りを捧げるところになっているとのことでした。

挨拶を交わした工事現場監督と思しき方も、日徳海の方も、ここはこのまま残され、切り崩された尾根にあった仏舎利塔も工事が完成したらしかるべき場所に建て直されると言っておられましたが、これからどうなってしまうのだろうとなんとも言えない気持ちに襲われました。

無縁仏や石仏がぎっしりと並ぶ斜面の中段の脇に薬師様が祀られた湧き水がありそのそばに用具をしまう管理小屋があります。そこから上方に、涅槃仏が安置されているという屋根に鶴の彫像が立つお堂が見えます。

f:id:sktrokaru:20201117114341j:plain

f:id:sktrokaru:20201117114416j:plain

周囲の山が切り崩されて消滅し、斜面の右側にあった湧き水は枯れてしまっていましたが、薬師様が祀られた湧き水の枡には透明な水が湛えられていて、前には柄杓やじょうごが置かれています。

口に含むと柔らかい感じの良い水です。持ってきた水筒に詰めていただいて帰ることにしました。

帰宅してから気になって、開発計画のことなど実際はどうなるのか調べてみたら、元々の地形図に重ねて描かれた平成30年12月時点の開発計画図が見つかりました。

https://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/machi_zukuri/kukakuseiri/kumiaisekou/minamiyama.files/sekkeizu.pdf

これを見ると、確かに「ありがた山」は宗教施設用地としてなんとか周囲の緑地と合わせて残される様に計画されています。

f:id:sktrokaru:20201117114616j:plain

しかし良く見るとよみうりランドに向かう大きな道路が南側、区域のすぐ裏を、それもかなりの高度差で下方を通過するため、緑地といってもとても急な法面になります。また北側の「ありがた山」斜面の下方入り口あたりは深い切り通しで別の大きな道路が通過するので、元々のとりつき道路からは歩道橋で「ありがた山」斜面に渡ることになります。

一番驚いたのは、斜面右側(西側)にはもともと高い尾根が連なっていて、それを完全に切り崩して「ありがた山」の区域だけがそびえるように取り残されるということ。この先、周囲が造成されて住宅が立ち並ぶといったいどんな風景になるのか、ちょっと想像が難しい気がしました。

どちらにしろ、今は最初から山が崩れる様な開発工事はしないはずだと信じたいと思いますし、斜面下側道路の工事が始まるまでは立ち入りもできそうなので、またときどき石仏のお顔を拝見して癒していただくついでに工事の状況を観察しに行きたいと思っています。

 

追記:

稲城市のページに造成工事完成イメージの絵がありました。これを見ると予想通り緑地のほとんどは急な法面で、「ありがた山」は本当に垂直にも近いような崖に囲まれてぽつんと取り残された突起のように見えます。崩れてしまわないのか、実際の完成の姿が一体どうなるのか、とても心配です。

f:id:sktrokaru:20201117231430j:plain

https://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/machi_zukuri/kukakuseiri/kumiaisekou/minamiyama.files/minamiyamatoubuchikunomatidukuri.pdf