蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

4気筒ミニスチームエンジン

 


前回、とても良質で綺麗な2気筒オシレーティングミニスチームエンジンを手に入れて、気を良くしてしまい、4気筒のバルブギヤをクランクシャフトからベベルギヤを介して動かすというちょっと変わった見かけのエンジンに、ついうっかりと手を出してしまいました。

1ヶ月ばかりかかって、こんな状態になったボール箱が……。一応精密機械なのに、心配。

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開封したら、クッションもあまりしっかりしていなくて、いよいよ不安でしたが、なんとか酷いことにはなっていなさそう。

でも今回は、如何にもの中華テイストのアピアランス。ベースボードに無意味な雷紋の透かしが施されていたり、なんだか妙なバランスの精密感と言いますか何といいますか。

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部品もレーザーカット?ワイヤカット?断面が荒く、各真鍮パーツも傷が目立つし、あちこち細部の処理ももう一つだし、リンクピンも汎用ネジ代用だったり、合わせ目という合わせ目にシリコンシール剤がはみ出てたり。

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主軸を摘んで回そうとしても渋くて回りません。

あー、これは、ハズレかなーと思いつつ、シリンダやバルブ内でグリスとか固まってそうなので、灯油丸洗いしてからミシン油をたっぷりくれてやると、なんとか主軸を摘んで回せるようになりました。でも引っかかる。

エアポンプに繋ごうとしたら、なんと給気口にパイプが付いていなくて、4mm パイプを大慌てで探したり、前回の2気筒オシレーティングエンジンの出来の良さとは比べ物にならない一昔前の中華クオリティみたいです。値段、こっちの方が遥かに高価なのに……ちょっと残念。

水槽用エアポンプで試したら、引っかかって回りませんでした。一緒に入っていた一枚ペラの説明書に従ってバルブギヤの調整をしてみましたがそれでもダメ。吐出量&エア圧が足りないみたいです。

クランクシャフトとピストンの位置関係もおかしくて、コネクティングロッドが斜めになっているのもご愛敬

仕方がないので、エアブラシに使っているToricon33を繋いでエアを送ると、騒音を立てながら勢いよく回り始めました。

どうもベベルギヤで回しているバルブギヤのシャフト部の軸受けの精度が悪くてガタが酷く、スムーズな回転を妨げている模様。  シャフトそのものが真鍮製なので、摩耗して余計にひどくなりそうです。クランクシャフトの位置もおかしいので、一旦フレームを分解してベベルギヤの位置をずらし、ワッシャーを入れて調整。そもそもシリンダ間隔とシャフトのクランクの間隔寸法が合ってないという、なんか根本的なところで設計がおかしいし、組み立てもどうもいい加減です。

とにかくあらゆるところにミシン油を注ぎ足し、ガタのあるカムシャフト軸受けには、モリブデングリスを塗り付け、しばらく強引に高速で回していたら安定して回るようになってきました。無茶苦茶乱暴な取り扱いですが、もうこの時点で気にしないことにしました。

再度水槽用エアポンプを試すと多少引っ掛かり気味ですが何とか動いてくれるようになって一安心。

しかし、もともと低速で回して動きを楽しめるようなエンジンではなさそうです。


4気筒ミニスチームエンジン

今回は、まさしくmade in china、中華機械の香りたっぷりで、その点では楽しめた?ような気もしますが、前回手に入れた製品が、アピアランス、クオリティ共に驚異的に良くて感激ものだっただけに複雑。

‪結構な値段だったのに、このクオリティでは……でしたが弄りがいの楽しみがある品物なのでまあいいかというところ。とにかく、ちょっとしたフレームの歪み?でも動かなくなってしまいますし、カムシャフト軸受けやリンク部の遊びが大きすぎて動きがギクシャクし、正確なバルブタイミングも取れません。フレームもえらく柔らかい軟鉄を使っているようで、少し力をかけると簡単に歪みます。温度による変形の事も考えたら、実際に蒸気で動かすのは無理なのじゃないだろうかと思います。

その後も、丸一日、延々といじりたおしていてわかったのは、剛性のないフレームで精度の高い設計は百害あって一利なしだという事。こういう学習教材の場合は、作動する構造が大事なんであって、ガタが酷く多少ギクシャクして音や振動があろうと、とにかく快調?に動くことが重要なのでこれで良いのだ、ということでした。

でも、散々調整して、スムーズに動いた時はとても嬉しいです。どうせなら、フライホイールくらいはつくって付けてあげようかな、と思います。

もちろん化粧箱などもありませんでしたので、ちょうど良い大きさのものを自作してみました。

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 素罪箱に転がっていた真鍮円筒(東急ハンズ140円の値札がついてました。おそらく30年くらい前に買ったもの)で、適当にフライホイールをつくってみました。シャフトの太さが3mmのはずが少し曲がっているのか歪んでいるのかして入らず、3.1mmのドリルを使ったら今度はゆるゆるになって、フレが出てしまいました。

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どっちにしろ、回転数が低いので殆ど効果があってないようなものですが、心なしかスムーズに回るようになった気がします。