蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

POMギヤにローレットを切った軸を打ち込んで固定する方法は技術的に正しいのだろうか?というお話です

専門的なことは素人でよくわからないのだが、そもそもプラ製のギヤやホイールなどにロレットを切った軸やブッシュを打ち込んで(圧入して)固定する方法は技術的には正しい方法なのだろうか?

その方法で固定したPOMギヤが割れて破損する例はよく見るし、安価なおもちゃのパーツや家電製品のツマミなどでもそういう例を見ることが多い。

常々、なんでわざわざ凶悪なギザギザのついた太い軸を樹脂製のパーツのキツい穴に無理矢理突っ込んで押し広げ、しかも穴の表面に亀裂が入るきっかけを作るキズを盛大につけるような血も涙もない強姦魔みたいなやり方で打ち込んで固定する技法が、かくも一般的に採用されているのかとすごく不思議に思っていた。

ただ家電製品などで、ベークライト等のフェノール樹脂などに軸方向に並行な直線状のロレットを切った金属製の雌ネジブッシュや軸受メタルが嵌入されている例はよくあるが、あれは硬く脆い材質のプラスチックである為、圧入時にセルフタップ同様切削されて大きな内部応力の発生なしに固定されるとか、もしくはあらかじめ金型に配置し一体成型することによって作られたものなのではないかと思われる。

ギヤメーカーのQ&Aを見ると、金属製、樹脂製に関わらず、ギヤの軸への固定は原則キー溝で、ブッシュに設けられた押しネジやピンなどの例もあるが、自前でキー溝を切って固定するのが基本のように記されている。

というわけで樹脂製ギヤやパーツに直線状、交差螺旋状に関わらずロレットを切った軸やブッシュを圧入する方法というのは技術的に認められた正しい方法なのだろうか、どんな経緯でこのやり方が一般的に普及定着したのだろうか、という素朴な疑問を抱いててきとーな考えを巡らせてきとーな文章を書き綴って面白く過ごせた午後のひとときでありました。(^^;

 

追記;

記憶が定かではありませんが、古い機械を分解したときに軸穴の180度の位置2箇所にキー溝のあるプラスチック製ギヤがプレス加工で両翼を付けた動力シャフトに取り付けられていたのを見たことを思い出しました。

その簡略手抜き版として誰かがロレットを切ったシャフトを白POMギヤに圧入する方法を思い付いたのではなかろうかと邪推しています。すぐに割れて破損するというわけでもないでしょうし、ちゃんとキー溝を代替する方法で大トルクにも滑らないよう固定してあるわけだから、当面は機能を満たして使用に耐えるでしょう。とりあえず納入時に文句を言われることはありません。

本当のところはわかりませんが、ひょっとしたら不当に安価な値段で受注せざるを得ない側の知恵と工夫?の結果だったのかもしれません。