蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

鉄道模型で普通に使われている真鍮製(快削黄銅)のギヤは「軽負荷」用?という話です

よく鴨居運転線を走らせていたバンダービルトテンダーのリバロッシ製HOグレートノーザン蒸気が壊れました。

ギヤが空回りしているみたいなので分解したら、真鍮製のウオームホイールの歯が削れてウォームと噛み合わなくなっていました。真鍮製のウォームギヤもかなり痩せていますし、動輪もガタガタするのでよく見たら、真鍮製の車軸と鉄製?のフレーム軸受け部分(四角く切り込んであるだけで軸箱無し)も酷くすり減っていました。

そらこうなるわ……と言う感じです。ひょっとしてこんなん最初から耐久性とか考えてへんのんちゃう?という造りでした。

でもまあ、注意を怠って潤滑油を切らしたままにしたのも、転がりが悪く重い貨車をたくさん引かせていたのも死期^^;を早めたのかもしれません。

で、ウオームとホイールがどちらも真鍮製なのとか、潤滑油を切らしたままだったのとか、車軸が真鍮製で軸受けが薄板のフレームを四角く切り欠いただけという論外なのとかは置いとくとして、鉄道模型に普通に使われている真鍮ギヤがこんなに簡単に酷く摩耗するって、大丈夫なんかいな?と、ギヤの材質のことについて調べてみました。

・ 平歯車の材質例(出典:平歯車 選定参考資料 | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】

こういうの、初めてちゃんとみました。真鍮(快削黄銅)製は軽負荷用です。プラギヤも軽負荷用ですが自給油性というのは注油しなくても良いということなのかな?

気になるのは、どの程度までを軽負荷というのかですね。

ウォームギヤの方も調べてみたら、

・ウォームギヤとホイールの材質例(出典:ウォームギヤ「小原歯車工業」

ウォームに固い材質、ホイールに相対的に柔らかい材質を使っています。真鍮(快削黄銅)製は見当たりません。実用機械の動力伝達には耐摩耗性の面などから適さないということかもしれません。

ウォームギヤの特徴や使用、選定については、下記参考資料のページを見ているととても面白く勉強になりました。

Nゲージクラスで普通真鍮製ウォームとPOM製等のホイールが使われているのは、文字通りの軽負荷だからということだろうと思います。自給油性もあるから潤滑油を注さなくても大丈夫みたいですし。

しかしHOゲージでは、昔から普通に真鍮製のウォームギヤ(鉄製のもある)と真鍮製(たまに燐青銅製も見る)のウォームホイールの組み合わせが使われていて、大型機やブラス製の重い編成などでも同じように思います。インサイドギヤなどもすべて真鍮製平ギヤです。大丈夫なのかな、という素朴な疑問です。Oゲージの場合はどうなのでしょう。

潤滑油が十分に機能していればきっと大丈夫なのだろうと思いますが、それにしてもどの程度の負荷を想定しているのかが気になります。

余談ですが、HOゲージクラスでは、昔はベークライト製のホイールとかもあって、削れが酷くてダメになったとか、モジュール0.2のウォームホイール丸坊主になったとかいう話も聞きますし、鉄道模型メーカー製品にはモジュール0.4、0.5などの粗いギヤが採用されていたり、材質だけでなくモジュールも影響が大きそうです。

どちらにしろ鉄道模型のほとんどは、軽負荷用材質のギヤを使っているわけで、その耐用期間はどうなのだろうとか、博物館のジオラマレイアウトなどで走らせている車両のメンテナンスはどうなっているのかとか、とても興味があります。

参考資料;

平歯車 選定参考資料 | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】

 平歯車「小原歯車工業」https://www.khkgears.co.jp/catalogs/pdf/spur_gears.pdf

ウォームギア選定のポイント(選定概要) | MISUMI-VONA【ミスミ】

ウォームギヤ「小原歯車工業」https://www.khkgears.co.jp/catalogs/pdf/worm.pdf

ウォームギアとは?歯車のことならサイトウ工機

ウォームギヤ「協育歯車工業」https://www.kggear.co.jp/stockgear/worms/