蕗狩軽便図画模型工作部日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

鉄道模型の潤滑油、潤滑剤の話です

鉄道模型の車軸やギヤ、蒸気機関車のロッドやバルブギヤ周りには、潤滑油を注します。どんな機械でも稼働摺動部分に適切に注油することは大事と言うより必須です。

Nゲージの製品には注油厳禁の注意書きがあるものがありますが、これは、自己潤滑性のあるエンジニアリングプラスチック製のギアを使っているので特に注油の必要は無いということ、潤滑油によってはプラスチックを劣化させる危険があること、それから無闇に潤滑油を注すと返って汚れがまとわりついて故障の原因になるのを防止するため、と思われます。適切な潤滑油を適切な方法で注油し適切に管理するのなら問題はないでしょう。

Nゲージ以外の鉄道模型も、基本的に鉄道模型メーカーが出している専用オイルなら使い方さえ間違えなければ何の問題も無いはずですが、蕗狩軽便図画工作物シュレマル工房としては、ギヤや車軸、集電に関わる場合もある軸受部分などにより効果が高くトラブルの起きにくいものを試してみたく、これまでいろいろと無思慮無秩序無分別不用意に、ミシン油、ユニクリーンオイル、KURE556、シリコンオイル、エンジンオイル、ベルハンマー、タミヤモリブデングリス、タミヤセラミックグリス、自転車ハブ用グリス、ワセリン、接点復活王、PECOエレクトロルーブ、LGB51010導電性グリス、Kadee Grees-em、タルカムパウダー、ネオリューブ、などを潤滑油、潤滑剤として使ってきました。

(上は取り敢えず模型工作部屋でパッと見つけられたもの。エレクトロルーブの意味不明なペンタイプの容器、どこに行っちゃったのだろう?)

結論から言って、たかが鉄道模型玩具レベルの精度と負荷、ロバスト性の機械機構に使うには、どれも大した違いはないように感じます。ただ、サラサラ、トロトロ、グリス状、乾燥、それから導電性のある無しによって使い所や使い方は変わりますし、潤滑効果持続時間(油切れするまでの時間)には、感覚的にですが、かなりの違いがあります。でもそんなもん、走らせる際にチェックして必要ならその都度注油すればいいだけの話です。チリホコリ等汚れの付きやすさのほうがずっと問題です。注油しすぎは禁物です。余分な潤滑油は綿棒などで拭き取ります。

素晴らしく精密だったり大きく重く高い負荷のかかる模型、それから博物館展示レイアウトで長時間連続運転するような模型の場合は別です。きっともっと気を遣って最適な潤滑油を最適な方法で使用しメンテナンスしていると思います。

ミシン油、KURE556、エンジンオイル、タミヤモリブデングリス、自転車ハブ用グリスは、プラスチックの劣化を起こすようなので注意が必要です。確証はありませんが、KURE556、エンジンオイル、タミヤモリブデングリス、自転車ハブ用グリスのどれかでプラスチックギヤ割れが促進されたのではないかと思われる例がありました。

集電に関わる軸受には導電性のある潤滑油や接点復活剤みたいなものが使えますが、粘性が高くて粘つくのと、意外に早く油切れを起こすように感じます。汚れと転がりを気にしなければLGBの導電性グリス(グラファイト・ルブリカント)が良いです。

ギヤトレインにはグリス系のものが油切れが無くて良いようです。ただ、ケーシングやカバーがなく剥き出しの場合、潤滑油が飛び散るのは勿論ですがチリホコリを巻き込んで纏わりつき悲惨なことになります。剥き出しのギヤトレインの場合はサラサラの潤滑油を油切れに注意して注油するのが良いと思います。でないと真鍮ギヤなど、場合によってはあっという間に摩耗します。

Grees-emなどのパウダー系やネオリューブのように塗布乾燥状態で使うグラファイト系潤滑剤もあります。これらは導電性もあるので集電に係る軸受にも有用です。チリホコリがまとわり付かないので良いのですが、使う場所や条件によって効果持続時間が短い場合があるので良し悪しですし、油で濡れていなくても起きる綿埃の巻き込み絡まりは防げません。

なお、HOゲージ以上の製品取り扱い説明書の注油指示箇所にギヤトレインが示されていない場合は大抵グリスが使われていて、長年のうちにグリスが劣化した場合、メンテナンスとして分解しグリスアップするのが前提のようです。

 

追記;

たかが鉄道模型玩具に、という表現を不快に感じる方もおられると思いますが、それは自分が対象としているものに対して何処まで求めるかで人それぞれなので、潤滑油に限らず様々なモノや技術は、それぞれの特性と欠点、それから自分が目的とすること、要求するレベルの応じて、過不足無い使い方で良いという意味で、敢えてこういう表現を使用しました。

それがどんな基準、どんな使い方であろうと、ガソリンエンジンの軽自動車に軽油を入れるレベルでなければとやかくいうことは無いと思います。

ギヤやジョイントなど動力伝達機構をはじめとする技術的なこと、精度やロバスト性、さらには例えばゲージ論なども皆それぞれ求めるものが違ったまま噛み合わない議論をしているように見えることもよくあって、面白いなと感じます。

 

 

 

 

体調管理;

3回目外来治療1日目無事終了、明日2日目無事終わりますように。