蕗狩軽便 図画工作日記

ー シュレマル工房 覚え書き ー

「とれいん」誌6月号に蕗狩通信「ウィリアム・メイン作 児童文学『砂』の1シーンより」が掲載されました

今回の蕗狩通信は、トロッコが出てくるイギリスのジュヴィナイル小説『砂』を紹介するヴィネット(ミニジオラマ)です。

子供の頃に読んでとても面白かった記憶のある物語です。

このお話、内容はなんのこともない、寂れた田舎町に住むどこにでもいるような普通の少年たちが、かつて海砂採取をしていた海岸砂丘で砂に埋もれた線路をたどりながらうろつきまわり、偶然見つけた恐竜の骨の化石らしきものを、ただひたすら女の子にモテたいという一心で、トロッコに積んで運び、女子校の校庭に並べて怒られるというだけの、全然ドラマチックでもなんでもない淡々とした、山なしオチなし意味なしの、いかにもの英国少年少女小説ですが、これがなんと約半世紀前、1969年度第15回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書だったのでした。

その時の他の課題図書と見比べてもこれだけがなんだか妙に浮いていて、何を思ってこんな作品を選んだのか、当時の文部省、正確には全国学図書館協議会にちょっと聞いてみたい気がします。当時の選者に相当ユーモアのあるマニアックな?方がおられたのではと思いますが、おかげでこの本に巡り会えたのはとても幸せなことでした。

で、その中の1シーンに、ある夜少年たちが町の有力者が敷いた私道のアスファルトに埋まった線路を掘り返し、骨を積んだトロッコを通過させようとしたところへ当の有力者が車で通りかかって、という場面をヴィネットにしてみました。


でんしゃを走らせることはできないので、鉄道模型と言ってもらえるのかちょっと心配ですが、海岸砂丘の砂採取線跡のトロッコが登場する英国児童文学『砂』に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。