基本的にテレビドラマや演劇は苦手です。
ドラマに必須だという対立と葛藤?を華やかに演出、表現するためだとは思いますが、主人公はじめ登場人物達が興奮して強い口調でひしり合う場面の多いこと多いこと。俳優さん芸能人の演技力の見せ所なのかもしれませんが、あれがとにかく苦手です。
(注:“ひしる” は、和歌山弁、紀州方言だそうです。大声で叫び、言い争いをしたりすることを言います。→ 精選版 日本国語大辞典 - ひしるの用語解説 - 〘自ラ四〙 叫ぶ。大声をあげる。※散木奇歌集(1128頃)雑「山に遊びあるきけるに、鹿のひしるこゑのしければ」)
昔のアニメでは実写ドラマ以上にその傾向が強い作品があったように記憶していますが、最近は強い口調でひしり合うことが無い作品が多くなっているように感じます。
ものによっては相変わらず派手な戦いや口論の場面がてんこ盛りですが、意外にそういう場面でも、それ以外の場面では特に、基本穏やかにor冷静に淡々とした台詞のやりとり(熱血ものやギャグ、コメディ展開の場面は別)でストーリーが展開されて行ったりします。
最近の人気作品の例では葬送のフリーレン、薬屋の独り言、スパイファミリーなど、少し前ではスーパーカブやゆるキャンなど(大幅偏りご容赦)。戦闘アクション主体のものはまた別としても無職転生、ストレイドッグズみたいなのとかさえ極端にひしり合う場面は少なめのように思います。
でも実写版テレビドラマは、相変わらず表情ひん曲げてひしりまくっているか、主役の人気芸能人?の顔大写しで台詞を決めている場面が売りのような作品が多いように思います。アニメの場合はキャラの顔大写しで台詞を決めていても、生身の実在有名芸能人ほどの存在感が無い?ので気にならないだけかもしれません。
つまり演劇も実写ドラマも生身の人間が演技するというだけで、それだけで観る人に訴える大きなインパクトがあるということです。なので演劇や実写ドラマはストーリーじゃ無くて、主に俳優の演技や俳優そのものを鑑賞を楽しむ傾向が強いのでしょうし、そちらの方により魅力を感じる方が普通なのかもしれないと思います。
アニメ好きと、演劇・実写ドラマ好きとでは、かなりその層が違うのかもしれません。
アニメ好き(注:大ヒットしてマスコミに取り上げられたようなアニメが対象の場合は別)、というだけで、オタクだとか隠キャだなんだかんだとかいろいろ言われがちなこともあるようですから、当たらずとも遠からずの気がします。
追記;
コミックスやアニメから実写ドラマや演劇になる場合、あまり見比べたことがありませんが、やっぱり見せどころとして、役者さんたちが顔を歪めてひしり合う場面が多くなっているのでしょうか?
追記2;
ちょっと蛇足な連想ですが……
江戸落語と上方落語の違いは、江戸落語は人情噺の名演目が多いが、上方落語には人情噺自体があまり多くなく目立たないこと、それから上方落語では客は噺を鑑賞しに寄席に来るが、江戸落語では客は噺家を鑑賞しに寄席に来る傾向が強いように感じることです。なので上方落語はアニメ、江戸落語は実写ドラマや演劇的な性格がありそうな気がします。
江戸では歌舞伎、上方では人形浄瑠璃が大衆芸能として栄えたというのも、そういう傾向の違いがあったからかもしれません。
追記3;
昨日、Amazon primeでエイリアンプロメテウス吹き替え版を観ました。映像はなかなか凄かったです。しかし主人公の吹き替えが(以下略……)。公開当時、人気芸能人の吹き替えというのに惹かれてこの映画を観た人達は、好きな芸能人の声を聞けて満足して喜んでいたのだろうかと……