今年最後の日記です。今回は真面目に、何時か何処かで誰かの役に立つかもしれない、と考えて纏めた記録を書き記すことにします。
それでは本題に入る前に、皆様へ、そして未来のシュレマル工房に、2025年(令和7年)もどうぞ良い年になりますよう!
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悪性リンパ腫化学治療「R-CHOP療法」治療を受けました。
治療期間中の副作用、体調の変化について、これから受ける人の参考になるかもと考え、簡単に纏めておきます。個人差があるので、あくまでも私の場合の事例です。
注:本記事は下記リンクに示した考え方によって記述、公開しています。
帯状疱疹後神経痛のことと個人がブログ等で公開する病気罹患レポートの扱いについて - 蕗狩軽便図画模型工作部日記
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悪性リンパ腫化学治療「R-CHOP療法」治療(6クール、18週間)経過状況覚書
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受診科:総合病院血液内科。(頸部リンパ節腫脹により受診したホームドクター(内科)から紹介。)
治療対象者概要:60代、男性、軽度肥満、前立腺肥大症(がん疑い。経過観察中)、既往症:虫垂癌、下垂体腫瘍。
検査:主要マーカー他血液検査。PET-CT検査、頸部リンパ節始め全身に多数集積箇所。頸部リンパ節生検。胃十二指腸内視鏡検査。腰椎骨髄検査。
診断:悪性リンパ腫(末梢性T細胞リンパ腫、非特定型 + びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)。進行1ヶ月単位。
治療法:化学療法(R-CHOP療法:下記参考リンクに示される標準治療) 。
治療経過:
治療期間、6クール(1クール:薬剤投与と休憩期間を合わせ原則3週間)、原則18週間(事情により4クール目が4週間となり19週間となった。)。
薬剤投与、1日目エンドキサン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、オンコビン点滴、2日目リツキサン点滴、ジーラスタ皮下注射(1日目終了24時間後)。1〜5日目プレドニン経口剤服用。 1回目は重篤な副作用警戒のため入院治療。2回目以降は日帰り外来治療。毎回治療前に血液検査、診察。急激な体調変化があった場合は総合案内経由で入院病棟看護師に電話連絡。担当医に報告、対応決定。
6クール終了後(6回目外来治療終了3週後)状況確認診察。
6クール終了3週後PET-CT検査。1週後診察で、PET-CT検査所見として頚部、腹部リンパ腫等ほぼ解消、血液検査結果ほぼ問題なしと診断。今後2ヶ月おきに血液検査、診察、で経過観察、必要に応じてPET-CT検査。
副作用:
・不正脈:1〜3クール目まで頻繁。心電図チェック。化学療法1回目血液検査で低カリウムであることがわかりカリウム錠処方。4クール目以降も発生するが頻度低減。
・疲れ、だるさ:全期間。かなり強い。毎回3週目終わり頃(次回クール直前)に軽減。
・ふらつき:1クール目2週目、排尿障害治療薬剤シロドシン服用開始後深刻。立ちくらみによる転倒複数回。
・眼の霞み:化学療法1回目直後に発症。眼科受診。角膜炎症治療薬処方。4週目から軽減。
・下痢:1〜4クール目に深刻。1日8回以上。5クール目以降軽減。ミヤB錠服用。
・味覚障害:全期間(症状は後述備考参照)。全クール毎回3週目以降に軽減。食事量が減り治療終了時体重約9kg減。
・吐き気:強くは無い。味覚障害と連動。
・口内炎:全期間。毎クール1週目に発症。2週目から軽減。
・手足指先痺れ:3クール目から発症。細かい作業が難しく、特に刃物の扱い等が危険。6クール目後半から手指痺れ悪化、また足指痺れは尻から脚全体に拡大。
・脱毛:全期間。頭髪、眉、髭始め全身の体毛が脱毛する。抜けないで残る体毛も多少あるが全く伸びない。
・排尿障害・頻尿(前立腺肥大症の悪化?):化学療法1回目2週目に発症。カテーテル排出施療。タムスロシン処方。3週間後夜間排尿障害悪化の為、処方薬をシロドシンに変更。副作用による低血圧、ふらつき、立ちくらみ大きく、6クール目に悪化の為服薬一旦中止。立ちくらみ解消するも排尿症悪化の為タダラフィル処方。立ちくらみ解消するも目の霞み発症したため、2週間後処方薬をタムスロシンに戻して経過観察中。夜間約1時間おきの頻尿で睡眠の質低下。睡眠不足による体調不良、体力低下。注:睡眠の質低下は化学療法副作用も考えられる。
注:
4クール目は都合により4週間となり4週目は副作用が軽減し体調がかなり回復したが、5クール目以降は反動のように副作用が強く現れた。
6クール目は体調不良、体力低下、味覚障害、手足指先の痺れがより強く現れた。排尿障害も処方薬の効き目が悪くまたその副作用によるふらつき立ちくらみが強く、視覚障害等が現れた。
6クール目終了して約3週後から次第に副作用全般に軽減。6週後手足先の痺れ以外の副作用はほぼ解消。体力、筋力の低下、身体各部の痛み顕著なため、歩行、ストレッチ等でゆっくり改善予定。
合併症:
6クール終了3週後帯状疱疹発症。化学療法治療による免疫機能低下の影響と思われる。帯状疱疹発症1週間後合併症として髄膜炎発症。2週間の入院抗ウイルス薬点滴治療。後遺症として左半身広範囲に強い神経痛ほか。鎮痛剤による緩和治療を継続して経過を見る。詳細については、退院しました & 帯状疱疹と髄膜炎入院治療経過覚え書き - 蕗狩軽便図画模型工作部日記を参照。
備考:
味覚障害について。舌が膜に覆われたような感じで甘みを中心にほぼ味を感じなくなる。舌の両側奥周辺から常に苦味を感じる。食べ物は苦いザラザラした粘土のように食感と舌奥両側に柿渋と似た感覚。匂いはわかる。少し改善しても本来の味とは異なる味のため返って食べられなくなる事も。酸味は比較的感じやすい。塩味よりも旨味?の方が感じやすく受け入れられる味。塩味は苦味に近くなる。甘い菓子類は不快。全期間食べることができたものは、レタスとトマト、卵のコンソメスープ。豆腐の味噌汁。いずれも味濃い目。食べないと体調不良、体力低下が急速に進む。
運動能力著しく低下。しかし筋力維持の為積極的歩行やトレーニングが出来る体調では無くゆっくりリハビリ予定。
治療期間中、小さな擦り傷、打撲による痣などでも治癒するのに非常に長く(1ヶ月以上)かかった。
通院以外は外出を避けた(酷い下痢、体力低下もあり体調的にほぼ外出できなかった)ため、感染症は避けられた。
備考その2:
治療と費用について。担当主治医始め医療機関スタッフの皆様への感謝と尊敬、そして医療関係者の方々の絶え間ぬ努力により常にアップデートされる標準治療に感謝。また国民健康保険制度にも感謝の限りです。
参考リンク:
CHOP(チョップ)療法 | 国立がん研究センター 中央病院
追記;
12月27日、スズキ自動車の元会長鈴木氏が亡くなったというニュースが流れました。94歳だから老衰で亡くなっても不思議はない年ですが、死因は悪性リンパ腫とのこと。標準治療として行われる化学療法は、確率はそれほどでもないものの人によっては重篤な副作用があるので、年齢も考えれば運悪くその症状に耐えられなかったということも考えられます。しかし悪性リンパ腫は放っておけば確実に死ぬ病気ですし、標準治療を受けられたのか、年齢から考えて副作用の危険や辛さも考えて緩和ケアで最後を迎えられたのか、どちらだったのだろうと考えてしまいました。