ジオラマにはdioramaとgeoramaがあって、それぞれ意味が違うという事を初めて知りました。
辞書などを調べてみると、
dioramaは、
1. 立体模型。ミニチュアの人物や物と背景を組み合わせ、ある場面を立体的に現すもの。
2. 遠近法を用いた背景画の前に人物・動物などの立体模型を置いて証明し、窓からのぞくと実際の光景のように見えるようにした装置・見せ物。
georamaは、
1. 内面に大地の景観[地球]が描かれている見物用大円球。
とありました。
似た言葉として、パノラマという言葉があります。
panoramaは、
1. 半円形の背景に風景画を描き、前面に立体的な模型をおいて、観覧者に高い所から見渡すのと同じ感じを与えるための装置。
2. 広い眺望。一望のもとに収められた景色。
とあります。
さらに調べていくとこんなページが見つかりました。
歴史博物館ネットミュージアム ひょうご歴史ステーション 学芸員コラム れきはく講座 第101回:「透かし絵」から情景模型へ――ジオラマの歴史 2018年8月15日学芸課長・学芸員 香川 雅信
説明文のなかに、
・ジオラマ、より正確にはディオラマ(diorama)は、フランス起源の言葉であり(英語読みは「ダイオラマ」)、最初期の写真機「ダゲレオタイプ」の発明者として知られるルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが1822年に考案したアトラクションであった。
・「ジオラマ(diorama)」という語はギリシャ語のdia(~を通して)とorama(眺め)を組み合わせた造語で、「透かし絵」を意味している。その名のとおり「ジオラマ」には、後ろから光を当てると透過光により絵柄に変化がもたらされる仕掛けがあった。
という記述がありました。
元々はスライドショーや影絵芝居のようなイメージのアトラクションをジオラマと言ったのですね。
ひょっとすると上方落語の「くしゃみ講釈」に出てくる「のぞきからくり」のようなものもその発展形のひとつに数えられるのかもしれません。
読んでいくと、透かし絵からミニチュア模型などを配置して現在のようなジオラマに発展していく過程が丁寧に解説されていてとても勉強になります。
それを見ると、背景画と一体となった展示が本来のジオラマと言って良いのかなという気がしますが、現在では立体的に風景の一部を切り取って物語を表現するミニチュアモデルのことをジオラマと言うようになったということのようです。
この、o-rama、または ramaという接尾語がついた言葉は、他にも時々見かけます。
・ワイドスクリーン映画の一。3台のカメラで同時に撮影したフィルムを、3台の映写機で湾曲した横長のスクリーンに映写して、立体的な画面を得るもの。スクリーンの縦横の比率は1対2.88。1952年、米国で実用化。商標名。
だそうです。
そのほか、ボーイスカウトの技術技能実演展示イベントは、スキルオラマと言います。
skill-o-rama は、
・ボーイスカウト活動の一つであるジャンボリーのような野営大会で、スカウト達同士がいろいろな得意な技能を披露し合うプログラムのこと。パノラマ (Pan-O-Rama) の、Pan(すべて)O-Rama(見える)、の言葉のPanをSkill (技能) に置き換えた遺諦である。
ということでした。
つまり、o-rama、ramaという接尾語がついた言葉(造語を含む)は、眺め、風景、情景そのほか色々なものを見せる仕掛けや展示、パフォーマンスだと思えば良さそうです。
何をジオラマというか、どんなものをジオラマと定義するのか、などという話は、どんどんその内容が変わっていくのだから問題にしてもあまり意味がなさそうな気がします。
また、これから技術が進んで新しい表現方法が開発され利用されるようになった時には、ジオラマという言い方に加えてそれに応じた新たな造語が生まれ使われるようになるのかもしれません。