武蔵野美術大学通信教育課程工芸工業デザイン学科プロダクトデザインコースの卒業制作で題材にした歩行アシスト機能のある杖について、特許出願が査定され特許第6941698号(特願2020-017462)として登録されました。
体重をかけると肘を後ろから押す力が働いて身体を前に進めるのを助けてくれる歩行補助杖です。
「ライブリークラッチ」という名前をつけました。
(画像はクリックすると拡大します)
これでやっと自分の卒業制作がひと段落ついたような気がします。
特許出願して2年近くもかかりましたが、知財総合支援窓口での弁理士先生からのアドバイスや特許庁審査官から丁寧で親切な対応をいただけたことでなんとか投げ出さずに査定にこぎつけたという感じです。
2度に渡って拒絶理由通知書をもらい、その論拠に反論するのはなかなか大変でしたが非常に学ぶところ大でした。この歳ではもうこの経験を役立てられることもないようにも思いますが、とても面白くやりがいのある試みでした。諦めずに最後までやってよかったと思っています。
卒業制作発表の時に他コースの学生さん何人かから「この杖が製品になったら手に入れたい」と言ってもらえたことも大きな励みになりました。
ただ残念なのは、添付図が卒業制作で指導いただいた先生方から「本当に美大生なのか?」と呆れられてしまったプロポーションの狂った手書きイラストのままになっていることです(上の画像は卒業制作発表で使ったプレゼンボードですので修正済みです)。
知財総合支援窓口では後から清書したものに差し替えることができると聞いていたので、添付図を卒制プレゼンポスターのイラストと差し替えようと補正書を出したのですが、審査官から「最初の出願内容と異なる内容を加えることになるので認められない。元の図に戻すように」という内容の拒絶通知が来ました。手書きからイラストレーターで作図した際に人間のイラストはともかく、杖の形状が少しでも変わるとダメと判断されたようで、やむなくみっともない図がそのまま添付図として登録されてしまっています。お恥ずかしい限りです。
そんなこんなでいろいろ反省点だらけですが、このアイデア、私が杖を使わなければ歩けなかったときに本当に欲しかった機能をまとめたものなので、特許として世間に公表されたことで製品化してくれる方が出てくれば良いなと淡い期待を抱いています。
ちょうどコロナの流行が重なって、なんだかんだといろいろありましたが、卒業制作の続きとしてのトライは結構楽しかったです。
改めて在学中にご指導いただいた先生方に御礼申し上げたいと思います。