今は「電柱:でんちゅう」と言うのが普通ですが、昔は「電柱:でんしんばしら」と言う呼び方の方が一般的だったように思います。関西方面では「電信柱」の方が普通かも。犬やそれ以下の酔っ払いがおしっこをかけるのも「電信柱」です。語呂も良いですからね。
しかし電力を供給する送電線はじめ電話線その他様々な用途のケーブルを張り巡らす為の支柱を、なぜ「電信柱」と呼ぶのかとふと疑問を抱きました。
文明開花とともに日本に持ち込まれたもの物の一つであることには疑いのない「電柱」は英語ではなんと言うのかと調べてみたら、utility pole, telephone pole, telegraph pole、最後のテレグラフ ポールの文字通りの直訳が「電信柱」というわけでした。
でもなんで?なぜelectricity poleとかじゃなかったのだろう?というわけで、興味津々欣喜雀躍知的好奇心探索の旅に出かけることにしたところ……いきなりカンニングペーパー的サイトにぶち当たって喜んで良いのか悲しんで良いのか、まあ、めちゃくちゃ楽してほとんどの疑問が解けてしまいました。
です。
その第一章が、「がいし」のはじめは通信用、というタイトルですから、もうここで勝負ありです。
1838年にモールス式電信機を完成させ、1843年にワシントン~ボルチモア間61kmに電気通信の実験線が完成し、翌1844年5月にこの実験線を利用してワシントン~ボルチモア間の電信サービスが開始、1861年10月24日、初の大陸横断電信システムが開通。当然そのガイシを設置する柱は電信柱と呼ばれるようになったということですね。
電信と言えばモールス信号というイメージですが、実は歴史的には電信の技術は18世紀中頃から研究されていて、モールス式電信はそのいちばん最後に開発され普及したものだということがわかってびっくり。
で、第三章が、電気が通信用から照明用に拡大です。この章で、電信の次に電気の応用が実用化されたのは照明用途です。1879年(明治12)にトーマス・エジソン(1847‐1931)が一般照明用として実用的な白熱電球を開発、1882年(明治15)にニューヨークで電灯事業がスタートし大成功を収めたことが紹介されています。
この時点では、もう「電信柱(telegraph pole)」という単語が完全に普通名詞になっていたのでしょう。
みんな大好きニコラ・テスラ陣営の交流方式が電流戦争に勝利して一般的な送電法となり、一気に大規模な発電、送電システムが発展普及したのちも、その名前は変わらなかったということなのだろうと思います。
でも、電柱の英訳をしらべると、utility poleというのがいっとう最初に出てきます。これは、つまり日本での「電信柱」に対する「電柱」という感覚なのではなかろうかと邪推しています。
今回はなんか拍子抜けなくらいの好奇心探索の旅でしたが、知り得たことはとても面白くわかることの快感を十分味あわせてくれるものでした。ネットの便利さ偉大さ、その恩恵に感謝の限りです。
ということで、ああ面白かった!ほんとこういう遊びを簡単に楽しめる環境があるなんて幸せすぎるんじゃないかと思っています。
参考サイト