ミニトレインズなど欧州型ナローに使われているエガーバーンタイプのループカプラーをつくってみました。
このタイプ、実用的にはとても優れていて、車両をぶつけるとスムーズに連結します(でもときどきあまりにカプラーの高さが揃っているとループ同士がぶつかって跳ね返されてしまう事があります)し、ループ下の垂れ下がり部分を押し上げると確実に解放します。
でもこのカプラーは、なかなかパーツとして手に入りません。
なので3Dプリントでつくってみました。
車体カプラー台座にねじ止めするタイプとNゲージ台車のアーノルドカプラーポケットに取り付けるタイプ、トミーテック鉄道コレクション用のカプラー台座に嵌め込めるタイプの3種類です。
FDM方式3Dプリントなので、どうしても少し造形の乱れや糸引きが目立ちますが、よく切れる精密ニッパーやデザインナイフ(カッターナイフ)で丁寧にバリや糸引きを取り除けば、とてもスムーズに作動します。
Loop & Hook Coupler made with 3Dprinter
猫屋線とミニトレインズなどの車両を一緒に楽しむのにも使えそうです。
ここからは裏話。
一見簡単な構造のカプラーですが、予想外に苦戦して、ほぼ満足できるヴァージョンになるまで丸3日、延べ20回近く設計・作図・プリントアウト・仮組・組付&動作確認・設計変更・修正作図・プリントアウトの繰り返しというとんでもないことになってしまいました。
ループを金属線を曲げて作るのが大変なので、どうせならループもと考えたたのがいけませんでした。PLA樹脂の柔軟性と丈夫さという特性を活かし、ナベトロの時もそれなりにループの成形に成功してはいたのですが。
FDM方式プリントでは、ノズル径に近い小さく細い部品を組み合わせてスムーズに動かすような造形は、ほぼ禁忌であることは十分わかっていたはずなのに、何を考えていたのかと思います。
最後の最後になって再度完全に最初から設計し直してやっと上手く作動するようになった時はちょっと嬉しかったです。
ある意味、FDM方式3Dプリントの長所と短所を凝縮したような作品?になってしまったようにも思います。
家人からは、「なんの役に立つのそれ?一昨日からからずーっとそればっかり……食器洗うの手伝うとかトイレ掃除するとかもっと役に立つ事しなさいよ」と叱られるし、特に新しいテクニックを学んだり使ったりしたわけでもなし、いわば自己満足の極みみたいなものなのですけれど、なんというかやりたいことをやり切った感があってとてもいい気分です。
下は順調に生産されたオシャカのほんの一部。ラフトやプリントアウト失敗分を入れると軽くこの10倍以上あると思います。
このカプラー、蕗狩軽便で重宝しそうです。
ひょっとして興味を持って使ってみようという方がいるかも知れないと思い、minneにも出品しておきました。
糸引きやバリは、♩あっちを立てればこっちが立たずこっちを立てればそっちが立たず、で今の機材ではコレがギリギリですが、糸引きは幸い直線上に揃っているので切れ味の良い精密ニッパーやデザインナイフで比較的簡単に処理できます。
バリや糸引きの処理さえ丁寧に行えば、確実に作動します。