蒸気機関車のインジェクターは、一般的には、「ボイラーへの給水にポンプを用いず、自分自身の圧力を用いて給水する装置」などと説明されているのですが、恥ずかしながら、その原理を全く理解できないまま今のいままで生きて来てしまいました。
だって、ボイラーから出た蒸気の圧力で同じボイラーに水を押し込むなんて、なんでそういうことが可能なのか、何度図を見て説明を読んでも理解不能じゃないですか?
当時参照したのは、『蒸気機関車メカニズム図鑑』の「注水器」の項ですが、「蒸気と水が完全に混合すると、凝水ノズルと混合ノズルが一体となり、繰り出しノズルを経て、ボイラー圧力より勝って逆止弁を押し上げ、ボイラーに注ぎ込まれる(要約)」という説明で、ちんぷんかんぷん、原理が理解出来ず、自分には完全にお手上げ状態でした。
ところが、たまたま水撃ポンプのことを調べていて、突然「おおっ!」と……、なんと世に聞くヘウレーカ体験!をしてしまって、むちゃくちゃに感動しているところです。
さて、水撃ポンプの仕組みと原理はこんな感じです。
(以下、手っ取り早く、それなりにわかりやすいと思えるWikipedia の記述を引用します。)
で、この水撃作用の説明が、こちら
そして、インジェクターの仕組みと説明をもう一度、Wikipediaで見てみます。
(注:なんと、その昔に見た時よりも理解しやすく修正されてるじゃないですか!これならこのページだけでもしっかり原理がわかりますね。)
厳密には作動原理が違うので、説明はこうなるのでしょうが、要するに、水の質量と慣性による運動エネルギーによって発生する力積が高圧力(衝撃)をもたらして、水を高く持ち上げたり、ボイラーに水を注入することができる、ということですね。
いや、マジ、感激、と言いますか、なんで今までわからなかったんだという、なんか非常に情け無い気分になりました。
よくよく考えたら、これって高校生の時に物理をちゃんと勉強してたら普通に直感的にわかる事なんですよね……きっと……
なので、こんな基礎的なことを理解できずに疑問に思いながらこの歳になるまでほったらかしてたなんて、いやはや、みっともない話ですが、今まさに、こんな年齢になってまさかのヘウレーカ体験できるなんて、これまたすごいことで、すごく幸せな気分でもあります。(レベル低すぎますが、それは置いといての話ですw)
で、話変わりますが、蒸気機関車のインジェクターは、アンリ・ジファールというフランス人の発明なのですね。英国人でも独逸人でもなく、フランス人だと知ってこれにも驚きました。フランス人、すげー。
この人、蒸気機関で駆動するプロペラをつけた有人飛行船飛行に初めて成功した人で、エッフェル塔に名前が刻まれているって、なんかロマン溢れる情報まで行きついてしまって、これまたちょっと幸せな気分になっています。