半田付けインストラクション『Basic Soldering for Electronics』というヴィデオに下のような絵が出てきました。
ハンダは、金属を混合するとそれぞれの溶融温度よりも低い温度で溶融する共晶反応を利用しています。そのわかりやすい説明イメージですね。
下の図で50/50というのは、錫50%鉛50%、60/40というのは、錫60%鉛40%という意味です。
参考:
純鉛:比重11.3, 融点327℃, 剛性率 5.6GPa
純錫:比重 7.3, 融点232℃, 剛性率 18GPa
普段使っているハンダは60/40のものですので、183℃で溶け出し191℃でサラサラの液体になりますが、183℃〜191℃の間はプラスチック?と言ってどろどろのパテのような状態になるということですね。
これが、板金用の50/50だとサラサラの液体になるのが216℃になり、63/37の共晶ハンダでは溶け出す温度とサラサラの液体になる温度が183℃と一致して、固体から液体に一瞬で変化することになります。知らんかったなあ。
すこしドロドロのある状態がパテ盛り的にも使えるので60/40のハンダが一般的に使われていたのですね。
ハンダの種類について、もうちょっと知りたいと思って調べたら、「ハンダの成分表と融点、比重の一覧|はんだの種類の一覧」というページがありました。ものすごくたくさんの成分割合のハンダがリストアップされています。
詳しくはそちらを見ていただくとして、気になったのは、鉛を含むハンダには95/5を除いて63/37以上に錫の多いハンダの種類がまったくないということです。
なんでなんだろうと考えました。
で、思い当たったのが、上記ページにあった次の文章です。
「はんだの成分が多数あるのは、その性能に違いがあるからです。まず鉛を含む場合、酸化防止、濡れ広がりの向上、食われ防止といった性能が期待できます。含まれている成分によってこれらのほか、粘り強さであったり、機械的強度、仕上がりの光沢に違いが出てきます。また用途によって使いやすさ、使いにくさといった要素にもかかわってきます。成分が異なると、価格も異なりますので、材料コストにも違いが出てきます。」
つまり、
・鉛の方が錫よりも酸化防止、濡れ広がり、食われ防止といった性能がよい
・鉛の方が錫よりも融点が高くどろどろの範囲が広いハンダが作れる
・錫は、鉛の約10倍の価格がする
ということが理由だと考えられます。
もっとも現在は鉛フリーのハンダが主流になっているのでこういう知識も実用的には役には立たないのかもしれませんが、調べてみるととても面白く楽しいものですね。
ちなみに先のページには、鉛フリーはんだの情報も詳しく掲載されていますので、ご興味のある方には面白いと思います。